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今日の献立、ミネストローネ対ラタトゥイユ Posted on 2025/12/15 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
昔話から、はじめますね。
その昔、まだ、息子と暮らしていた頃、野菜がちょっと苦手な息子を野菜好きにさせたい、と思いまして、考案したのが、ラタトゥイユのパスタ、でした。
笑、想像すると、えええ、となる。
子供はトマトソースのスパゲッティが大好物だから、ラタトゥイユに冷静カッペリーニが載っていたら絶対食べるに違いない、自分も食べたいし、と思ってやってみたら、おおお、案の定、当時、10歳だった息子君、ペロっと完食!
「これ、もうないの?」と言いだしたのであります。
でも、なんで、ミネストローネスープのパスタじゃなだめだったのか、と一人暮らしをはじめた父ちゃんは思い、試したところ、あ、これも美味しかったです。ということで、再度、仕切り直しで、今日は、ミネステローネとラタトゥイユの違いから、おさらいをしておきましょうかね。あはは。

フランスのラタトゥイユと、イタリアのミネストローネって、何が違うの? 
簡単に言うと、野菜がもっともっと細かくカットされていて、ラルドン(ベーコン)が入ってるのがミネストローネ!
ベーコンが肉感を野菜に移すから、ありゃあ、子供が好きになるわな~。

これが辻家のミネストローネスープでございます。綺麗ですよね?
え、お皿が、あはは。

今日の献立、ミネストローネ対ラタトゥイユ



で、ミネストローネスープを通して、野菜が好きになってきた息子君、・・・あと一歩、野菜を好きにさせたい、という父ちゃんの願いが、ラタトゥイユで完結することになります。
もう少し野菜の形がしっかり残ったラタトゥイユの出番となりました。
いい作戦ですよね。
そこからじわじわと、息子君、野菜なら何でも食べられる青年に成長していくことになるんですな。

で、ラタトゥイユは完全に野菜だけなんだけど、それだけだと味気ないので、オリーブオイルでちょっとピリ辛に味付けしたカッペリーニを載せてみることを思いつきました。
麺の威力というのは凄いですよね。
ラタトゥイユが食べられるようになると、まもなく、ポトフも食べられるようになりました。
ポトフは羊肉やソーセージも入れるから当然、受けもよかったです。

ま、ともかく、ラタトゥイユの冷静カッペリーニ添えは前菜として、どの時期でも美味しく食べられるし、見た目も、ちょっと豪華に見えるから、便利なんですよ。
というわけで、さっそく、作ってみましょうかね。



まず、メインの野菜だけど、茄子、パプリカ、ズッキーニ、トマト、玉ねぎなどがあれば構いません。
夏野菜で作るのがラタトゥイユの基本だけど、今は年中、どんな野菜だって買えるから、うちでは冬でもラタトゥイユなのです。
さて、野菜はだいたい同じくらいの大きさに切りそろえないといけません。
アクが強そうな茄子は切ってから少し塩を加えた水に5分ほど漬け、あく抜きをしておきましょう。



それから、厚手の鍋にオリーブオイルを敷き、潰したにんにくを入れます。
弱火にかけてオリーブオイルににんにくの香りを移します。
ここまではペペロンチーノなんかと同じなんですね。
次に、玉ねぎを炒め、火が通ったら、とりあえず、一度、火を消しておきましょう。



今日の献立、ミネストローネ対ラタトゥイユ

フライパンにオリーブオイル大さじ1を入れ茄子を炒めます。
茄子は火が通ると吸った油がじわっと表面に出てくるのでそのタイミングで先の玉ねぎとにんにくの鍋に取り出します。

ズッキーニ、パプリカも同じようにフライパンでそれぞれ別々にオリーブオイルで炒め、火が通ったら玉ねぎ&にんにく鍋に移して、どんどん仲間入りさせてください。
これがコツなんです。
最後にトマトもフライパンで火を通し、皮がはがれてきたら菜箸やトングで取り除いてから、ぼくも入れてくれーーーー、と騒ぐ前に、鍋に移します。
よし。料理はなんでも、愉しんでやるのがいいですよね。愉しんで作ったものは間違いなく、美味くなるというのがルールなんです。
その通り!!!



今日の献立、ミネストローネ対ラタトゥイユ

それぞれ炒めた野菜を混ぜ合わせ15分程弱火にかけ全体を馴染ませます。
塩・こしょうで味を調えたら、ラタトゥイユは完成。
1日置くと味が馴染むのでさらに美味しくなるから不思議ですね。
しかも、冷蔵庫で、寝かせるといいですよ。
寒いところが大好きな連中なのです。

カッペリーニは塩を入れた熱湯で1分40秒茹で、ザルにあげて冷水でしめてよく水気を切っておきます。
ザルに麺を押し付けるようにして、水は完全に切るように! 
ボールに移しオリーブオイル大さじ4を振りかけ、塩・こしょう、唐辛子の粉(七味とか。笑)で味付けし、ラタトゥイユと一緒に盛りつけます。
ラタトゥイユの真ん中に、くるくるッと丸めて載せるとなかなか見栄えもいい。
ほら、完成です。
子供も大人も楽しくなる一品です。日曜日のお昼とかに、どうぞ。
ボナペティ!!!

今日の献立、ミネストローネ対ラタトゥイユ

材料
なす    2本
ズッキーニ 2本
玉ねぎ   小2個
パプリカ  1個
トマト   5個
にんにく  3片
オリーブオイル 適量
塩・こしょう  適量
カッペリーニ  250g

今日の献立、ミネストローネ対ラタトゥイユ

※ ただのラタトゥイユ、これもいいよね。もう、好きにして~。笑。

今日の献立、ミネストローネ対ラタトゥイユ

2026年の1月、パリの日動画廊で開催されるグループ展に参加します。
1月15日から3月7日まで。結局、11作品の展示となりました。フランス人3人とのグループ展なのに、11作品も、・・・。笑。
場所は、パリ8区ですね。エリゼ宮殿の傍です。

それから、8月前半に一週間程度、東京で個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。(予定)
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。

そして、11月初旬から3週間程度、リヨン市で個展を開催いたします。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに!

辻仁成 Art Gallery
自分流×帝京大学

Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。