JINSEI STORIES
息子に教えた・料理教室「チキンピカタ風鶏南蛮。これは今夜の献立にべんりだよ~」 Posted on 2024/08/06 辻 仁成 作家 パリ
コロナの時代に、家から出られず、よくキッチンに集合して、ぼくは息子に生きるための料理をおしえておりました。その中でも、一時期、流行ったのが、トンカツでもない、ステーキでもない、ピカタ、なのであります。
さて、親子の仲睦まじい会話を聞きながら、ぜひ、今夜の献立に役立ててくださいませ~。
まずは、材料から・・・。
材料(4人分)
・鶏の胸肉 4枚
・塩胡椒 適量
・卵 2個
・小麦粉 大さじ3
・片栗粉 大さじ3
・炭酸ソーダがあれば、大匙1くらい。
・パプリカ 大さじ1・1/2
・クミン 大さじ1・1/2
・サラダ油 適量(フライパンに5〜10ミリくらいの量)
★タルタルソース
・卵 1個
・マヨネーズ 卵と同量(大さじ3〜4)
・パセリ 適量
・柚子胡椒 少々
・醤油 小さじ1/3
・オリーブオイル 大さじ1
さて、作ってみましょう。
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料理って、レシピ通りに作るのはとっても大事ではあるが、ちょっとひと工夫すると、途端にこれまでのものが別世界的なものへと変わることもある。
パパは実験とか創作が大好きだから、パパの料理のほとんどが、オリジナルのままじゃなく、いわゆる伝統的なものにちょっと手を加えたものが多い。
例えば和風の要素を加えたり、和風料理を洋風に味付けしたりして遊ぶ? 遊ぶことで今まで食べたことのない面白い一皿を作りだしてきた。
もちろん、失敗もあるけど、失敗は成功のもとと言うじゃない。
多分、そうやって世界中でレシピって生まれてきたのだと思う。
鶏南蛮が好きだったし、ポークピカタも好きだったので、この二つを組み合わせるとどうなるかな、と思ってやってみたら、やっぱりおいしかった。
豚を鶏に変えて、タルタルソースをかける。
これはあまり意外な感じはしなかったけど、「そんな手もあったか」料理という部類に入るね。
でも、そもそも鶏南蛮も和風なチキンタツタ揚げにタルタルかけたら美味しかったのが始まりだろうから、チキンタツタ揚げって、ポークピカタに似ているし、竜田揚げとピカタに通じるものを感じたのがこの料理が誕生するヒントになった。
もともと竜田揚げって唐揚げからヒントを得ているわけだし、新しい料理が生まれるのって、突然、ハンバーグが生まれたりはしないわけで、いろいろ歴史的な人の往来があって、文化や国を跨いで似た者同士がが融合していった中で、最後にハンバーグに辿り着いたわけだ。
だから、チキンピカタ鶏南蛮風ってのがあっても、おかしくはない。
ちなみに、唐揚げがなぜ唐揚げと言われているのかについては諸説あって、一番濃厚なのは、唐揚げは空揚げが語源だろうというもの。
何も下味を付けずにそのまま揚げてたから「から揚げ」なんじゃないのかって説もある。なるほどね。
でも、中国料理の炸子鶏(ツァーツチー)のような料理を真似たとも言われている。
炸子鶏は下味をつけた食材に卵白、片栗粉をつけて揚げるのだけど、もっとイージーに揚げても美味しかったことから日本で進化して唐揚げになったんじゃないかって、父ちゃんは想像している。
言葉遊び的に、から揚げから唐揚げになったり。笑。
で、竜田揚げも諸説あって、赤いモミジで有名な奈良県の竜田川からきているという説(竜田揚げほんの色づくので)と、戦争中に軍艦「龍田」で出されていた唐揚げが、小麦粉じゃなくかたくり粉を使っていたのが美味しくて評判になり「竜田揚げ」になったという説もあるんだよ。
どうでもいいことだけど、人に歴史あり、料理にも由来あり、ということだ。
なので、ポークピカタをチキンにして、それを鶏南蛮風にして、タルタルソースで食べてみたら、美味しくないわけないんじゃないのって、父ちゃんは閃いた。
これが辻家で定着したのは、成長期の君の胃袋にぴったりマッチしたことと、チキンはヘルシーだし、安いから家計にも美味しかったということだ。
なのに、タルタルがかかることでゴージャスになるからね。
和洋折衷だけど、おしゃれに食べられる父ちゃんの創作料理ってことになる。
じゃあ、今日もさっそく作ってみるか!
まず、タルタルソースの準備から始める。卵を固ゆでに茹でる。
ボールにゆで卵とタルタルソースの残りの材料を入れて、フォークで卵を細かくつぶしながら合えていこう。
それから、鶏胸肉は三枚におろす(観音開き)。身の中央に厚さの半分くらいまで縦に切り込みをいれ、包丁を寝かせて片側の身を厚さ半分に切り開けばいい。
上下を逆にして反対側も同じように切り開いて三枚におろしていく。
薄く開いた鶏肉に塩胡椒をし、残りの材料(サラダ油以外)をボールにいれ、鶏肉にしっかり絡めておこう。時間の余裕があるなら、10分くらい放置しておけばいいよ。卵、小麦粉、片栗粉の比率が重要になる。炭酸ソーダは、ペリエでもいいよ。ちょっとだけこのタレの中に炭酸をいれると、空ッと揚げられるんだ。
フライパンにサラダ油を5〜10ミリほど引き、両面を焼くように揚げたら、ほら、もう、完成。さあ、じゃあ試食してみよう。ボナペティ!
※ ザクザク齧って、もぐもぐ美味しい。親子、にんまり、なんだよえねーーー。
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