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ロンドン最新情報「英国の3度目のロックダウンとはどのようなものか? ロンドン市民が詳細レポート」 Posted on 2021/01/06 Design Stories
イギリスが3度目のロックダウンに入った5日、コロナウイルスの新規感染者は初めて6万人を超え、入院患者が2020年春のピーク時を4割上回っている。
ロンドンでは30人に1人が感染、という衝撃のニュースが世界中を駆け巡った。
ボリス・ジョンソン首相は記者会見で、ワクチンはすでに130万人に接種されており、高齢者など「特に脆弱な人」の4人に1人が2、3週間後に免疫を獲得することを意味すると述べた。
「人々が決まりを守れば」規制の一部を2月に緩和できるとの期待を示したが、法案によればロックダウンは最大で3月末まで実施される。
今回の規制は、前回11月のロックダウンに比べて、休校措置が取られるなど全般に厳しい。
ただし、初回の2020年春のロックダウンに比べると、例外的に外出や勤務が認められるケースが増えている。
外出が認められる理由として、政府が挙げているのは以下の通り。
自分または援助が必要な人のための必需品の買い物。「合理的な理由」で必要な場合の出勤やボランティア活動。
「支援バブル」(編集部注:一人暮らしの人や片親家庭の親子が別の1世帯と屋内でも交流できる仕組み)、「育児バブル」(編集部注:14歳未満の子どもの世話をシェアするために2世帯が屋内でも交流できる仕組み)の相手の家に行くこと。
1日1回のエクササイズ、治療、家庭内暴力などの危害からの避難、法的に認可される場合の託児。
「合理的な理由」での出勤として、たとえば不動産売買のための立ち合いや引っ越し、工事関係者やナニーが仕事のために別の家庭に行くことは許されている。
生活者をただ閉じ込めるのではなく、封鎖生活の中にも、日常を回すための工夫が感じられる。フランスなどでも引っ越しは可能であった。
また、乳幼児の託児施設は閉鎖されない。
テニスコートやゴルフ場は閉鎖されるが、公園や屋外の子どもの遊び場は閉鎖されない。
さらに、教会やモスクなど、宗教の礼拝施設は開かれているほか、定員以内での結婚式や葬儀も可能となった。
2月半ばまでの休校期間中も、昼間家庭で過ごすことのできないごく少数の子どもたちは登校を続ける。
対象は、両親とも、あるいは片親家庭で親がクリティカルワーカー(医療関係者やスーパー・薬局の店員など社会の基幹を支える労働者)の子どもと、脆弱な環境にある子どもだ。
「脆弱な環境にある子ども」に、今回は「家庭内の静かな場所でラップトップを使うことができない」子どもも含まれることになった。
前回の休校では、コンピュータやインターネット接続が利用できない貧困家庭の子どもが、リモート学習への移行で教育を受ける機会を奪われることが問題になっていた。
政府はこうした家庭の子ども向けにラップトップやタブレットを支給する計画を打ち出していたが、実効性は現れていない。
年末年始には、ロンドン市内を中心に、ロックダウンに反対するデモや飲食店でのパーティーなどに警察が介入するケースが相次いだ。
感染拡大は、変異型の出現に加えて一部の人の行動が大きな要因となっている。
ロンドンでは先週の段階で、30人に1人が感染者だったと推測されている。
ロックダウンについてはさかのぼって今日の夕方に法案への投票が行われる。
保守党内にはこれまで経済優先を訴えロックダウンに反対する保守派の意見が根強かったが、今回はこれらの議員の多くも賛成の意向だ。
最大野党の労働党も支持していることから法制化は確実だ。
労働党のキア・スターマー党首は、テレビ演説で「国が団結すればウイルスに勝てる」と話すとともに、ワクチン接種の迅速な拡大を政府に求めている。
さらに、南アフリカで変異型が広がっていることを受け、外国からの旅行者に対し、イギリスに入国する際に陰性の検査結果の提示を義務づけることを、交通省が検討している。
イギリス国内でもイングランド以外のウエールズ、スコットランド、アイルランドは、各地域の自治政府が異なる規制を定めているが、ほぼ全域がロックダウンに入っている。
スコットランドでは礼拝施設も閉鎖されたことが一部から批判されているが、スタージョン自治政府首相は妥当な措置と話している。(清)