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パリ最新情報「フランスは、2040年までに使い捨てプラスチックをゼロにする」 Posted on 2021/01/03 Design Stories
フランスは2021年1月1日以降、飲食店や自動販売機を中心に、一部の使い捨てのプラスチック製品が販売禁止となった。
この法律は、よくよく考えてみると、物凄い決まりだということがわかる。
我々の生活はプラスチックの中にどっぷりつかっているからだ。
禁止されるのは、ストロー、カトラリー、マドラー、サンドイッチボックス、紙コップの蓋、風船の棒、紙ふぶき、ステーキ用ピックなどで、在庫を抱える店舗は在庫処理のため、6ヶ月の猶予が与えられる。
また、企業や公的機関での、ペットボトルの配布も禁止となる。
フランスは、2040年までに使い捨てプラスチックをゼロにすることを目標に、日常生活で使用する様々な使い捨てプラスチックの使用を段階的に禁止することを計画しているのだ。
なぜか?
プラスチック汚染についての報告書を提出したアンジェル・プレヴィル上院議員は、
「私たちの習慣を変えなければならない。私たちはプラスチックを捨てることがどれだけ自然と人間の健康に害を与えるか、ということを認識しなさ過ぎてきた。
私たちの生活からプラスチックをなくすことはとても難しいとは思う、しかし、今方向転換をしなければ間に合わない。プラスチック、特にマイクロプラスチックは、環境中のいたるところにある。土の中にも、空気の中にも、川や海の水の中にも…。それは、人間の健康と生物多様性に明らかに大きなリスクをもたらす。現在、エベレスト山頂付近でも空気中に繊維マイクロファイバーの存在が確認されているのだ」
と問題を提起した。
2040年までにプラスチックゼロにするためためには、今後、約20年の間に、私たちの消費習慣をまず、変える必要がある。
ともかく、早い段階で、プラスチックに対する意識の目覚めがなくてはならない。
しかし一方で、プラスチックは人類にとって今のところ必需品の代表の一つであり、プラスチックの産業に占める割合はあまりにも大きい。
プラスチックは、セメントと鉄鋼に次いで、今日、世界で3番目に製造される資材なのである。
世界で、年間約3,8億トンのプラスチックが生産されており、その量は50年で約20倍にまで拡大した。
コロナの感染流行に伴いネット販売が活性化し、便利な使い捨てプラスチックの使用が明らかに増えてきているのも現状である。
プラスチック汚染調査によると、現在、浜辺で最も多く検出されているのは発泡スチロールの破片、そしてマイクロプラスチックである。
マイクプラスチックとは、ポイ捨てなどが原因で環境中に出てしまったプラスチックが海に流れ、紫外線や波で5mm以下に砕かれたプラスチックの細粒片のこと。
非常に小さいマイクロプラスチックは、海にいる魚や貝が餌と間違えて食べてしまい、食物連鎖を通して、魚を食べた鳥や人間の脂肪に溶け込んで人体に有害物質を送り込んでくる。
しかも、科学物質は排出されにくいため、どんどん蓄積されてしまうのだ。これが目に見えない場所で起きている科学的な現実でもある。
そして、今、何もしなければ、30年後にはマイクロプラスチックの量が魚の量を超えてしまう可能性さえあるという研究成果も出ている。
マイクロプラスチックは半永久的に残るということを知っておくことが、まず、私たち人類一人一人が心得ておかなければならないことの第一歩かもしれない。
毎日の生活でまずは出来ることから、たとえば、水筒を持ち運ぶような地道な努力、そして、プラスチックを生活から少しずつ遠ざけていく努力、をしなければならない時がきたということであろう。