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ドイツの現状。ロックダウンの中で過ごす年末の光り Posted on 2020/12/29 佐藤 希恵 ピアノ弾き、ピアノ講師 ドイツ・ランツベルク

11月から緩いロックダウンに入っていたドイツは感染者が減ることはなく、12月9日には1日に死者が590人と過去最多となってしまった。
普段なら賑わっているはずのクリスマスマーケットの中止、飲食店、衣料品店舗の閉鎖、クリスマスまで人と会うことを減らす等、厳しい制限をせざるを得ない事に対して、メルケル首相は「申し訳ありません、本当に心から申し訳ありません。でも1日に590人の死者が出てしまったことは受け入れられない。(中略)クリスマスまでたくさんの人と接触し、その結果祖父母との最後のクリスマスになってはならない。」と感情を露わにして国民に訴えた。



ドイツ人にとってクリスマスは1年で一番重要な祝日で日本のお正月のように家族と過ごす文化がある。
24日のイヴから26日までがクリスマスで、ご馳走を食べ、プレゼント交換をし、日本の新年の挨拶のように近所の人にクリスマスの挨拶をする。
大晦日は逆で家族ではなく友達と集まり花火をあげて賑やかに新年を迎えるが、今年は禁止になった。
 

ドイツの現状。ロックダウンの中で過ごす年末の光り

そして12月16日から1月10日(今のところ)まで新しい規制でのロックダウンが始まった。

これまでのロックダウンとの違いはスーパーや薬局などの生活必需品店以外の全ての店舗、美容院、学校の閉鎖。
接触できる世帯数と人数は2世帯で子供を含まない大人5人までが接触可能(クリスマスは例外)。大晦日の花火の禁止。仕事等以外21時から翌朝5時までの外出禁止。
学校閉鎖に伴い私の勤める音楽教室も16日水曜日から再びオンラインレッスンに切り替わることになった。月、火は普通のレッスンで水曜日からオンラインレッスンなので生徒にメールを送り使用するソフトを準備してもらうお願いをした。
月曜日に音楽教室に行くと保健所からの連絡で今すぐオンラインレッスンにするよう指示が出された。
一つの地域で過去7日間中200人の感染者が出た時点で学校はオンラインに切り替える規制があり、私の住むランツベルクは月曜日に200人を超えてしまった。
水曜日からの準備しかしていなかった私達は急いで月曜日の生徒に連絡し、レッスンが始まるぎりぎり前に何とか間に合った。
4月に続きオンラインレッスンが2回目ということもあり、急にもかかわらず生徒も私もスムーズに切り替えることができた。
その週は冬休み前の最後のレッスンだったので、メリークリスマスと良いお年をの挨拶をして今年分のレッスンを終えた。
 



ドイツの現状。ロックダウンの中で過ごす年末の光り

飲食店のみ閉鎖の緩いロックダウンのときは、いつもと同じように街には人がいて本当にロックダウン中なのかと思うくらい変化は見られなかったが、この厳しいロックダウンに入ってからは街から人は確実に減った。
生徒もクリスマスにおばあちゃんのうちに行く予定を取りやめたとか、それぞれの家庭で過ごすという話をしていた。
メルケル首相のあの危機感のある演説後から国民が本気で取り組んでいるのが伝わってきた。
今年は庭やバルコニーのクリスマスの飾り付けをいつもより盛大にしているところが多く、コロナでの暗い気分を少しでも明るくしようしているのだと思い、見るたびに温かい気持ちになった。
クリスマス期間だけは会える人数の規制が緩められていたので、クリスマスが終わった今どのくらいの感染者が出るのか、そして1月10日でこのロックダウンは終われるのかまだわからない。
ただ唯一の希望であるコロナのワクチン接種が12月27日からドイツ全土で始まった。
医療関係者、80歳以上の高齢者、重い疾患を持っている人、介護施設職員などが優先で受けることができる。
これからアレルギー反応や副作用など出てくる可能性もある為どのくらいの人がこれから受けるのか、私も安心して日本に帰るためにも様子を見ながら受けたいと思っている。
 

ドイツの現状。ロックダウンの中で過ごす年末の光り

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Posted by 佐藤 希恵

佐藤 希恵

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Kie Sato
宮城県石巻市出身。ピアノ弾き、ピアノ講師。ドイツバイエルン州ランツベルク在住。2011年ドイツに渡る。フライブルク音楽大学卒業後、2014年よりランツベルクの音楽教室でピアノ講師として勤務。