JINSEI STORIES

退屈日記「朴訥なグルメ、3」 Posted on 2020/12/20   

なんか、別にシリーズにするつもりじゃなかったけど、反響があり、朴訥なグルメの3である。笑。

 
実は、料理本などを数多く手掛ける大和書房の編集者、八木さんからも事務所に連絡があったとかで、うちのスタッフから転送されてきたのだから、びっくり! まじか!!!
まだ、八木さんとは仕事などはしたことがないが、日記を愛読してくださっているようで、時々、感想をくださる。
文春の石塚さんもよく感想をくれる。(ありがとう! パリ最新情報も先日新聞社の人にいつもフランス情報は出し抜かれると褒められ、超いい気になってる、父ちゃん編集長だ。あはは)
ともかく、編集者さんからの助言、作家としては励みになる。
ということで、八木さんから頂いたメールの、前田シェフに関する部分を引用させていただく、と…。

退屈日記「朴訥なグルメ、3」



『「朴訥なグルメ」の記事にありました、前田シンさんのフレンチ講座、ぜひ実現させていただきたいなと思いました。
ビストロには、料理のヒントがたくさん詰まっていると感じています。
オープンキッチンのようなお店に行くと、目を皿のようにして見入ってしまいます。
塩の振り方ひとつとっても、ずいぶん高い位置からふるのだな、とか、レシピでは「少々」と書かれることが多いけれど結構な量をふるのだな、とか、味見はこのタイミングでするのだな、など…。
注文を受けてから、小さなキッチンでおいしい料理が生み出される様子は、本当に職人技だなと思います。
料理の仕方はもちろんですが、段取りや、身のこなし方まで含めて、とても参考になります。
おそらく、料理人の方が当たり前のようにされていることの中に、私達の日常でも役立つことがいろいろとあるように思います。
辻先生がそれをピックアップしてくださったら、ご本人があまりお話ししなくても面白くなるのでは、と思いました』
なるほど~。喋らない前提なのだね、えへへ。



前田シェフが聞いたら、あの男のことだから、直立で凍結し、動かなくなるのは間違いない。
あまり、皆さん、かいかぶらないでいただきたい。
でも、まあ、料理人が朴訥としているからこそ、信頼感があるのも事実で、ペラペラしゃべる、ぼくみたいな料理人だと底が見えて物足りなく感じるのも、事実だろう。
料理をそこそこ作れるだけでも、レシピとか発表しちゃうご時世だ。えへへ、すいません。←ぼくやんか!!
しかし、前田は世界を放浪しながら、本場で修行を続けてきたプロ中のプロだから、わけが違う。
で、ミシュランの星などとは全く無縁の、サムライ料理人である。
ぼくが星を与えたいくらいだ。辻朴訥賞ね。笑。

退屈日記「朴訥なグルメ、3」



前田シェフには、確かに何か超越したものがあるのは事実で、腕は太鼓判おせるから、あとは、ぼくがきちんとフォローできれば、いい授業が出来る気がしてきた。

八木さんに背中を押されたので、やってみようと思い、奥さんの佳代さんに、「簡単なレシピと材料表をください。それと、シェフの意気込みを読者に届けたいからコメントも」と頼んで、ぼくはブルターニュに旅立ったのだけど、…来ない。
「あの、意気込みとレシピ、来ないけど」
とLINEをしたら、
「もう、この話はなくなったと思ってました~。すいません。今から送ります」
とよくわからない時差攻撃で、意気込みとレシピが届いた。
で、読んでみたけど、予想通り…。
まず、意気込みが本当につまらない。
無口な前田シンらしさ炸裂した「・・・・無・・・」くらいのコメントが来れば面白いのになぁ、と密かに思っていたら、あまりに普通でひっくり返った。
これである!!!



『自分は人に物を教えられるような器ではないのですが、フランス料理の魅力を僕なりにお伝えできればと思います』

ひやああああ、つまらん。ぎゃふん。笑。

あまりに普通なコメントに、思わず苦笑してしまった。
でも、彼の誠実さは伝わったのではないか…、これでいいのかもしれない。
ただ、レシピの方はプロ的な書き方になっているので、これだけで超美味しい料理が作れるわけじゃない。
レシピはこの場合、手順のようなもので、あとは、生配信を見ながら、一緒に作ってもらうのが一番いいように思う。
もしくはレシピをなぞりながら、手順の深みを頭に入れておいて、配信の後に作るの、とか…。
材料表の方が大事なので、よく吟味して、材料を集めておいてもらいたい。
超オーソドックスなフレンチ料理になる。
作るのは二品。

まず、
Côte de porc charcutière 〜豚ロースの豚肉屋風〜

そして、添え物、ガルニチュールが、
Galette de pomme de terre 〜じゃがいものガレット〜
となる。

退屈日記「朴訥なグルメ、3」

※ 苦労しているのか、最近、白髪になった!



どちらも伝統的なフレンチだけど、前田シェフはパリで人気のビストロを渡り歩き、そこでメインシェフを任されてきた日本人シェフである。
朴訥感は松重豊さんっぽいけど、まだ40代半ばだから、松重さんほどの貫禄はない。
ちなみに知的さもあまりない。朴訥、朴訥…どこまでも。
すでに白髪で、ただ喧嘩はしないけど、きっと喧嘩も強いし、フランス人を常に見下ろし、動かし、朴訥朴訥とやってる、シェフらしいシェフなのである。
彼から得られるものは決して少なくはないだろう。
肉のマエシンと言われる、専門は肉料理で、今回は手始めに、フライパン一つで出来る本場フレンチ、を目指して料理講座をやってもらうことにする。

退屈日記「朴訥なグルメ、3」



前説が長くなったが、ついに、朴訥なグルメこと前田シンシェフの第一回講座が開催されることになりました。第二回は多分、ないだろうから、ここはふるってご参加されたし。

前田真×辻仁成「家庭で作る最強フレンチ」

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*定員になり次第、締め切らせていただきます。
 

以前の記事はこちらから⬇️

「朴訥なグルメ」
https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-1073/

「朴訥なグルメ、2」
https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-1090/

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