今年に入り、沢山の新しいお客様と出会う機会が増えました。コロナ禍で皆さん在宅の時間が増え、ご自宅にアートを、美しいものを飾りたいと思われる方が増えたのです。
 
「アートを買う」って、敷居が高いことなのでしょうか？

”アートは一部の方が買い求める世界”
そんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。でも、そんなことは全くなく、アートには様々な価格帯の作品が存在しますし、求める方それぞれの価値観で選ぶことができるものなのです。

旅先、道端で買った作品もアート。
お子さんが描いた作品もアート。
自分で作った陶芸作品もアート。
ギャラリーで購入したものもアート。

ご自分の負担にならない範囲、そして入りやすいことからアートに入っていくことをお勧めします。一度この世界を覗けば、気がつくとアートに夢中になっている！ そういう方は沢山いらっしゃいます。

例えば、現代作家の作品を買う醍醐味は、同時代を生き、同じ希望や悩みを持ちながら生きている彼らを身近に感じることができることです。
あるアーティストを熱心に応援しているお客様は、その作家の展覧会を毎回とっても楽しみにしています。個展毎に、成長していくアーティスト、人生のステップが変化していることを感じることが非常に楽しく、微笑ましく、作品を通して様々な感情を受け取ることができると仰っています。
 
アートはどうやって買えば良いのでしょうか？

先に申し上げたように、極論、買う場所は道端でも、どこでも良いのです。ただ、迷った時や悩んだ時に的確なアドバイスが欲しいと思えば、プロから購入することをお勧めします。
作家と一番近い存在はギャラリストです。アーティストに寄り添いながら、試行錯誤し、一緒に前進している私たちギャラリストは彼らの一番の理解者であり、同時にその作品をお納めするお客様の好みにも敏感です。
 
ギャラリーにはそれぞれ「個性」があります。例えば、私はGalerie Eric Philippeというパリのギャラリーの大ファンなのですが、彼らのギャラリーにいけば毎回100％欲しいものが見つかるのです。むしろいつも全部欲しい！ と思うほど（笑）
つまり、自分と個性が合うギャラリー、趣味のあう場所を探すことが、アートを買うための一番の近道だと思います。

また、ギャラリストである私が常に気を遣っていることがあります。それはお客様が選んだ作品に対する想いや距離をしっかりと読み取り、寄り添うこと。
作品と共に生まれる「個々のエピソード」はアートを購入する上で大事にしたいものです。ご自宅に自分自身の思い入れのある作品があることで、生活に彩りを与えますし、日々の過ごし方に変化も生まれるのではないかと思います。

 
私と主人は、一枚の絵がきっかけで知り合い、結婚に至りました。仕事柄、沢山の絵に囲まれて日々過ごしていますが、この作品は特別なもの。掛け替えをすることなく、自宅の大事な場所に掛けて暮らしています。
私がこの絵を眺めていると、主人と例え喧嘩をしていても、やはり初心に戻ったような気持ちになり、笑顔になります。

アートの持つ力、それは偉大なものなのです。

 
小さなお子さんがいらっしゃるご家庭は、アートを飾ることが不安でしょうか？

これも全く問題ありません。子どもというのは、そこにアートがあり、「触ってはいけないもの、大事に扱わなければいけないもの」と理解すれば、絶対に触れることはありません。現に、私の自宅はプライベートサロンとしても機能しているため、沢山の作品を展示しています。しかし娘がそれらを触ったり、壊したりしたことは一度もありません。
小さな頃からアートに触れる、本物に触れることは非常に大事なのです！

皆さんも是非アートの世界を覗いてみては如何でしょうか？
きっと人生により大きな喜びと刺激を与える、素晴らしい出会いとなるはずです！