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パリ最新情報「再ロックダウンに従わないフランス人たち急増、理由は?」 Posted on 2020/11/04 Design Stories
ロックダウン下のフランス。前回との大きな違いは、今度のロックダウンに従わない人が続出している。
外出証明書の項目が増えたことを利用し、ほとんどの人が普通に外出をしている。
国民や一部政治家がロックダウン政策を批判し、ついに温厚なカステックス首相が国会でブチ切れる一幕もあった。
病院は医療崩壊直前なのである!
ここにきて、好き勝手な行動をとり続けるフランス人が再び感染抑制を妨害し始めているのが現状であろう。
毎日の死者は老人介護施設の死者を含めると800人近くに迫っているが、ロックダウンなのに、出歩くものだから入院患者も増え、医療関係者は当然、呆れかえっている。
これが今のフランスの現状と言える。
「なぜ、我慢しないのだ!」と在仏日本人は首を傾げたくもなるが、なぜなら、それがフランス人なのである。
自由であり過ぎるふるまいが、残念なことに、感染症の勢いを後押ししている!
再ロックダウンが始まり、前回同様、レストラン、バー、生活必需品以外の商店が閉鎖となったが、それ以外の経済は止めないという今回のロックダウン。
商店経営者などからは「不公平だ」という不満が募る一方で、政府と商店、そして商店の意見を尊重する一部政治家の間に不協和音が流れている。
商店が政府の指示に反してロックダウン中に営業をした場合、235€の罰金となるが、1500€の補償ではどうにもならない、と怒る商店主たちが一部店を開けるという異常事態に発展。
国民のほとんどが従った前回のロックダウン時とは少し異なるフランス世情である。
今回不満をぶつけているのは書籍、玩具、化粧品、花屋、洋服店などで、これらを販売する街の商店はそれぞれの扱う商品が大型店のみで販売が許されるのはおかしい、と抗議。
それによって、まず大型電化製品店にあった書籍売り場が閉鎖に。
大型スーパでは生活必需品以外の売り場の閉鎖(洋服、玩具、書籍、CD、DVDなど)も決定したが、政府はこの判断にもたもたしてしまい、少なからず国民に動揺を与えてしまった。
(例えば、11月2日朝の発表で化粧品は生活必需品から外れたが、夕方になって化粧品が生活必需品に指定し直され、これまで通り販売になるなど…)
しかし、カステックス首相はテレビインタビューで、再ロックダウンから2週間後の11月13日の状況によっては、方向を変える可能性を示唆したが、それまで、生活必需品以外の商店の閉鎖を改めて指示した。
それに対し、今日(11月3日)の国会で「今回のロックダウンは前回と違い、マスクや予防措置も徹底できているのにどうして小さな商店を開けさせないのか」などという反対意見が飛び交った。
カステックス首相は「この病気は、感染の勢いが急激に増し、今日1日で400人の方が亡くなり、重い後遺症で苦しむ方もたくさんいる。命を一番に考えれば、人々の必要最低以外の行動を規制しなければいけないのだ!」と声を荒げた。温厚な首相が声を荒げ反対意見を制する姿は、国会内の拍手を誘い、一視聴者としても彼のコロナ対策への決意を感じた。
今回のロックダウンは前回の完全ロックダウンと違い、学校や経済を止めない新しいロックダウンである。
しかし、その分、線引きも難しく、不公平と感じる国民の政府への不満も目立つ。
マクロン大統領は前回通り国民が従うと思っていたようだが、そうもいかなかった。
予想を大幅に超えるこのウイルスの猛威を目前に、フランス政府はややコントロールを失いつつある。
今のフランスで新型コロナ感染症は、2秒に1人の新規感染者、30秒に1人の新規入院患者、3分半に1人の死者を出している。
残念ながらこの数字がこれからしばらく落ち着つかないのも事実であろう…。
現在、政府は家庭内感染を防ぐため、家の換気、そして家の中でもマスクを着用するよう促し始めている。
あらゆる方法を駆使し、1日も早くこの感染症から解かれたい。フランス、そしてヨーロッパは今、また踏ん張りどきである。