ミスターサンデーの放送終了間際に不意に司会の宮根さんに「辻さんはアメリカ大統領選挙どう思います？」とふられ、時計みたら10秒だったので、
「選挙は接戦になり決まらず、もめにもめて1月20日までもつれ米国の法律によりペロシ下院議長が暫定大統領になって、アメリカは内乱となり崩壊する」
と言ったところで放送終了になってしまった。笑。
よくも口が滑ったものである。
10秒という限られた時間の中で言える最大限のことだった。
これはどういうことか、と思われた方がいると思うので、ちょっと補足させて頂きたい。

※ミスター・サンデーで出されたお弁当。父ちゃんは大事に持って帰って頂きました。おいしゅうございました。

まず、木村太郎さんは今回も「トランプ大統領の再選」と宣言されていたけれど、ぼくはそう簡単に、あっさり決まらない、と思っている。
アメリカは伝統的に共和党支持州と民主党支持州は最初から決定している状態だ。
その判断がぎりぎりまでつかないいわゆる激戦州、がどうなるかで最終的に大統領が決定してきた、のが通年のこと。
4年前のトランプさんの大逆転劇はまだ記憶に強烈に残っている。

この激戦州はオハイオ、ウイスコンシン、ミシガン、大票田のペンシルバニア、フロリダなのだが、実は、木村さんはここでバイデンさんの息子の件が問題になり、またバイデンさん自身の先の討論会での失言が原因になりトランプが勝つと予測された。
ぼくも何もなければそうなる可能性もあるかな、と思っていたが、実はここのところ、フロリダを除くこの激戦州が全米で一番の感染拡大地域になってしまった。
アメリカは一日で8万4千人の新規感染者を出している。死者は22万人を超えた。
このことが選挙に与える影響は無視できない。
共和党支持者の中の高齢者層が、ここに来て、コロナ対策で失敗をしたことでトランプさん離れを起こしつつある。

この2週間で感染爆発が起こった場合、激戦州の共和党支持者らがバイデンさんに投票する可能性が高くなるのではないか。
そうなると、接戦になって、11月3日の選挙では結論が出ず、しかも、今回は多くのアメリカ市民が郵便投票をしているので、開票が長引くとなれば、トランプ大統領は郵便投票を認めずホワイトハウスに居座り、バイデンさんも負けを認めないと宣言しているので、混乱が拍車をかける。

気になるのはトランプ大統領を支持するプラウドボーイズなどの白人至上主義的な極右団体の動きで、彼らが何かしでかす可能性があり、或いは暴動が各地で起きるかもしれない。
また、フランスでも先の首相、エドワー・フィリップさんらが市民に訴えられているコロナ裁判、トランプ氏にも多くの訴訟が起こされることになるだろう。
こういうことが年内続くと、最終期限である1月20日まで大統領が決まらない可能性は十分にあり、そこで決着がつかないと合衆国憲法により、下院議長のペロシさん(民主党、80歳)が暫定大統領に選ばれる、というまさかのシナリオが実に現実味を帯びてくる。
まあ、これは極端な例で、その可能性は30％くらいじゃないか、と思うのだけれど、しかし、あり得る話しなのだ。

この結果、「プラウドボーイズ、下がって待機せよ」と命令していたトランプさんの行動次第では、アメリカに内乱が起きる可能性も否定できない。
彼らは今、待機中なのである。
コロナの感染爆発と内乱という最悪の状況になるかもしれない、という予測だ。
こうならないことを祈っているのだけど、ここから残り2週間の新型コロナウイルスの動き次第じゃないか、と思っている。
この件については放送の合間に、木村さんも「コロナ次第だね」と同意されていた。

さて、フランスはついに一日の新規感染者数が52000人を突破し異常事態に突入した。
13億人のインドで6万人前後、3億人のアメリカで8万４千人、６千万の人口しかいないフランスで５万２千という数字は尋常じゃない。
ところがフランスの科学者たちも「もはや何が起こっているのかさっぱり分からない」と言い出した。
科学者が匙を投げているような状態なのだから、ぼくらが分かるわけはない。
欧州全体では２０万人を超える感染爆発状態なので、この冬をどうやってヨーロッパは乗り越えるというのだろう。
そこにきて、今、トルコでは道端でマクロン大統領の写真が次々燃やされる事態が起きている。

エルドアン大統領が「(斬首テロを受け、フランスの世俗的な価値観をイスラム過激派から守ると発言した)マクロンは精神検査をするべきだ」と発言したのだ。
マクロン大統領は、イスラム教が世界中で危機的状況にある宗教だとし、1905年施行の政教分離法をさらに厳格化すると表明。
さらに、学校教育の監視とイスラム礼拝所への外国からの資金援助の規制を強化する方針を示した。
マクロン大統領はブラジルのボルソナロ大統領についでトルコのエルドアン大統領とも犬猿の仲になった。
トルコとブラジルはその地域の安定化に重要な国であると同時に経済新興国であり、また、その指導者は好戦的である。
フランスがそこに介入し、マクロン大統領に矛先が向けられるという状況が続いている。
それは置いといても、エルドアン大統領は「我々はオスマン帝国の子孫だ」と述べ、彼はどこかでかつての皇帝を意識したような行動に出て、周辺国の紛争に油を注いでいる。
トルコは親日国なので、また、ぼくも好きな国の一つなので、見守りたいけれど、エルドアン氏のオスマン的な拡大主義はどこまで行くのか予断を許さない状況であろう。
これは同時に、フランスに向けられたイスラム教過激派によるさらなる強いテロを呼ぶ予兆でもあり、全世界にあるフランス系企業が狙われる可能性も秘めていて、フランスは、コロナを抱えた上でのテロとの戦いという二重の重荷を背負うことになった。
ぼくがパリに戻る頃からはじまる冬のフランスが不気味過ぎてしょうがない。穏やかな日本から離れずらいのだけど、パリで待つ息子のことを思うと、何が何でも帰らないとならない。
世界の平和と安定をいまだからこそ切望している日本侍の父ちゃんであった。

とりあえず、世界はコロナ次第、…