私はパリで完全ご紹介制、プライベートスペースとしてのアートギャラリーを経営しているアートディーラーです。
主人が代々続く画商一家の長男ということもあり、家族の助けを借りながら、ここパリで仕事をしています。

そんな私自身が、アートディーリング業務と同じように力を入れ、そしてライフワークとして取り組んでいること、それが「芸術教育」です。

日本人の多くは、評価されたものや、周囲が良いと思ったものにアートとしての価値を見出す傾向があります。例えば、美術館の展覧会で目玉と言われる作品の前には大きな人集りができていても、他作品は素通りで人もまばら。自分が好きなものを主張するというよりは、人の意見を気にする方が多い印象でした。

これはどうしてなのでしょうか？
アートは自由なものなので、もっともっと自由に楽しむことはできないのでしょうか？

東京・銀座の老舗画廊で様々な経験をさせて頂きながらも、常にこの疑問を持ちながら、アートと関わっていました。その中でやはり日本の芸術教育、さらにはそれに伴う価値観等が少し世界と離れたものであるからなのではないか？ 私たち個人の問題ではなく、根本的な「教育」の問題なのではないかという考えに至り、筑波大学大学院教育研究科芸術科教育コースで社会人として、徹底的に芸術教育を学びました。

この学問に向き合うことで、やはり私の感じていた疑問は現実的に大きな問題であると理解でき、さらに当初は知ることができなかった別の問題を考え始めるようになりました。

当初、結婚してパリに嫁ぐことは想定外でしたので紆余曲折はありましたが、現在はフランスにて芸術教育事業 ”Future Art Lover Activity” を立ち上げ、日本向けのウェブサイト運営、そして、フランスでの活動も準備中です。

https://www.futureartlover.com/

Future Art Lover Activity は、文字通り、将来の芸術愛好家＝Future Art Loverを育成し、さらに芸術教育の必要性を再認識する目的のもと設立しました。

芸術教育は、想像力や創造性を刺激し、子ども自身の言語力を活発にする可能性も考えられます。しかしながら、現状日本では学校教育での予算の削減や先生の不在等々の問題があり、学校教育やご家庭によって芸術の教育格差が生まれている現実があります。

私たちの取り組みは、それら諸問題を解消すべく、保護者・学校・教育関係者・専門家・美術館博物館・ギャラリー・アーティスト等、アートに関わる者が一丸となり Future Art Lover を増やすべく切磋琢磨する、そんなシステムになることを祈り、立ち上げました。

例えば、私たちが提案するアートアクティビティの中には、元幼稚園教諭で双子のお母さんでもある青木由紀子さんの実際に青木さんがお子さんと制作している動画を見ながら、気楽に制作ができるコンテンツ「Arty Twins」があったり、また、食育のエキスパートである坪尻みつこさんの「絵手紙と手料理」では絵手紙を通して様々なコミュニケーション、さらに親子クッキングまで楽しめます。
（この絵手紙コンテンツは今後、フランスの子どもたちと日本の子どもたちを繋ぐ架け橋としての企画も進行中！）

また昨今、多くの保護者が「国際的に活躍できる子ども」を育成したいと願っていることと思います。

真の国際人とは何なのか？

私の少ないながらも海外在住者としての経験、そして今まで多くのグローバルに活躍している方々に出会い、真の国際人と呼べる方々は、自国の文化や歴史、芸術を知り、理解し、誇りを持っている方が多い、ということを学びました。

言語は、学ぶことで習得できます。でも言語ができることが、グローバルに活躍できることとは結びつかないのではないでしょうか。やはり、「自分自身を知ること」こそが、国際人への第一歩だと考えています。
それは、私たち日本人にとって、日本の伝統文化や芸術を知り、身近に感じること。
これらが私たちが考えるFuture Art Loverには必要不可欠だと考え、例えば、書道、茶道、日本舞踊、陶芸など日本独自の素晴らしい文化、芸術を親子で楽しんで頂ける企画も盛り込んでいます！

日本の新時代を担う子どもたちへ、「アート x 教育」が必要不可欠なものであるという確固たる信念のもと、まだまだ動き出したばかりの活動ではありますが、私たちのこの想いが、いつか多くの方々とアートを繋ぐ架け橋になるよう、心堅石穿、頑張ります。