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パリ最新情報「22時閉店! フランス飲食業界の悲鳴と怒り」 Posted on 2020/09/26 Design Stories  

今日からパリでも22時以降のバー、カフェ、レストランなどが閉店となり、バー・レストランの経営者は悲鳴を上げ、同時に怒りが噴出しています。
感染が爆発中のマルセイユでは営業そのものが出来ないので、その怒りは頂点に達しつつあります。
そもそもロックダウンの後、多くのレストラン経営者たちが「もしももう一度ロックダウンがあったなら破産するしかない」と戦々恐々だったからです。
それはパリの飲食業経営者も一緒で、行きつけのバーのオーナーにいたっては「自殺するしかない」と厳しい窮状を訴えていました。
しかし、22時以降の閉店が現実のものとなり、店主たちの動揺と怒りは政府に向けられており、春のロックダウン時の「仕方ない」という雰囲気とは異なっています。

パリ最新情報「22時閉店! フランス飲食業界の悲鳴と怒り」



「政府は俺たちの痛みを何ひとつ考えないで、自分たちが無策なくせに、飲食業者にだけ責任を押し付け、締め付けを強くしているけど、これじゃ、いつまで続くか分からないコロナ禍にあって、飢え死にしろ、死ね、と言われているようなものだ。あまりに先行きが見えな過ぎて、働く気力も生きる気力さえわいてこない」(カフェ経営者)
「カフェとかレストランはまだいいけど、バーは22時から人が集まって、深夜2時、3時くらいまでが稼ぎ時なのに、22時に閉店って、いつ稼げばいいんだ。それで強制閉店なら従業員への補償があるけど、22時まで従業員を働かせるってことは、補償は出ないってことか? ならば営業補償を徹底してやってもらわないと店を閉めるしかない」(バー経営者)

これに対し、カステックス首相は、市民が不満を炸裂させているのは政敵の陰謀もあると訴えています。現状の感染拡大を考え、ロックダウンを避け、市民生活を維持しながら、感染を封じ込めたい考えを示しました。
さらに、首相のこの発言に対し、規制が厳しくなったマルセイユ市とパリ市の市長は反発を強めています。

政府の方針を歓迎しているのは高齢の市民たち、家族を抱えるご夫婦たちです。
特に感染すると重症化する65歳以上の人々はカステックス首相の判断を強く支持。
パリ中心部のカフェやバーには連日若者が集まり、外のテラス席を大きくはみ出すほどの店もあり、それが深夜まで及び、当然そこから感染が拡大しているのが現状です。
そこにメスを入れない限り、いくら自分たちがマスクをして日常を送ってもどうにもならない、と高齢者の皆さんが思っていたところでした。
22時でバーが閉店すれば、外で大騒ぎする若者は減り、一定の効果は出ます。
ただ、バーから追い出された若者たちは狭い家の中へ移動するだけだし、テラス席とは違い室内なので感染を拡大させるのじゃないか、という指揮者の懸念も出ています。

フランスを二分するこの問題はフランスだけの問題とはいえません。
経済を優先させるか、感染を押さえるかは、日本でも同じでしょう。
昨日は1万6000人を超える感染者を出したフランスがどのようにこの危機を乗り切るのか。注目が集まっています。



※、レストラン関係者に追加取材をしたところ、以下の返答がありました。
「カフェや、レストランで、アルコール提供ライセンスを持っている店に関しては、客が22時以前に着席していた場合は、客が退出するまで食事を伴うアルコールは許可されている。しかし、政府の補償は現時点ではないよ」

パリ最新情報「22時閉店! フランス飲食業界の悲鳴と怒り」



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