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パリ最新情報「フランスは罰金、日本は罰金無し、コロナ対策の差」 Posted on 2020/08/09 Design Stories
日本とフランスの大きな差は、国民の差、と言い切っても過言ではないでしょう。日本人は世界中の人が認める「真面目」な国民性であるのに対し、フランス人はいい加減とまでは言いませんが、世界中の人が認める「超マイペース」な国民性です。ここまで個性が全面に出る国民気質はフランスの良い面でもありますが、こと、コロナ禍に関しては問題が多かったわけです。
フランス政府はコロナ禍に対して、ロックダウンの時もそうでしたが、かなり厳しい法令を次々に繰り出してきました。フランス人のようになかなか人の言うことを聞かない人たち、自分は自分で生きてしまう人たちを相手にする政府は厳しくせざるを得なかったのです。そうじゃなければ感染拡大は食い止められませんでした。一方、日本は国民が真面目で、ほっといても自分たちでどんどん用心をし、自然にお互いを監視し、感染が拡大しないよう一人一人が最大限の注意を払っていく国民性なので、逆をいうと、政府を甘やかせてしまうという結果を生んでいるようにも思います。日本政府は日本国民に助けられて、ロックダウンもやらなかった、というのが本当のところではないでしょうか?
フランスはメトロ内でマスクをしない場合、135€(約1万5千円)の罰金が科せられます。マスクを路上に捨てても135€の罰金をとられます。ロックダウンが解除された後も、このような法令が次々に出されてきました。そして、明日から、さらに厳しい法令が繰り出されることになったのです。公共施設内でのマスク義務化に続く、新たな法令は、屋外でのマスクの義務化です。遂に来たか、と思っている人は多いと思います。
パリ周辺圏(イル・ド・フランス)の陽性率が2,4%に上昇したことを受け、フランス政府は危機感を強めてます。それでも東京の3分の1程度、東京の陽性率は現在7%です。7%でも厳しい罰金が科されないわけです。もしもフランスで陽性率が7%になったら、多分、再び部分的なロックダウンか、それに近い政令が発動されているはずです。
今、パリはバカンス時期ど真ん中ですが、今年はコロナ禍の影響でパリに残っているパリジャンも多いということで、急遽、家の外でのマスク義務化が法令化されることになりました。日本の場合、こういうことが決まる前にマスコミが話題にし、事前に国民のコンセンサスをメディアが測ったりしますが、フランスは非情で、いきなり法令が出ます。たとえば、この屋外のでマスク義務化は昨日、報道され、明日施行開始という有無を言わせない感じなのです。フランス政府はフランス国民の性格を掌握していますから、議論などせず、いきなり罰金をとっていきます。ロックダウン自体、議論の余地もありませんでした。マクロン大統領がテレビでレストランを今夜12時から営業できなくします、と言ったら、即開始。知り合いの店主たちは、テレビで知った客らから、教わった、という人も多かったのです。で、自分たちでネットなどを通して翌日以降、ルールを学んでいく、というある意味、日本では考えられない方法がとられているのです。今回の屋外マスク義務化も同じでした。
明日からはじまるマスク義務化はパリ全域ではありません。下のグラフのように、商業施設の集中した、人の多く集まる商店街、市場などが立つ通り、観光で人が大勢集まる場所、に限定されています。けれども、このことを知らない人はいきなり警察に呼び止められ罰金をとられることになるのです。フランス政府は常に国民に対し強きです。国民がこれに不満を覚える場合、そくざに、大規模なデモが起こるという仕組みになっています。苦笑さえ起きてしまうフランス政府と国民のやり取り、けれども、誰かがぐいぐい引っ張って行かないと感染拡大食い止められない場合、これは有効な方法かもしれません。