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パリ最新情報「マスク着用反対ドイツ人がデモ。メルケルの苦悩」 Posted on 2020/08/02 Design Stories  

ヨーロッパのコロナ予防措置2大柱はマスク着用と社会的距離を確保するということだけれど、中にはこれらを義務化することに対し、「民主主義に違反だ」とか「人権侵害だ」などの声も上がっている。街中ではマスクをする人としない人の間での口論になったりしているし、フランスでマスク着用せず乗り込もうとした乗客を拒否したバスの運転手が殺されてしまうという事件もあった。

隣国ドイツではこれらの予防措置に反発するデモが頻発しており、8月1日、ベルリンで行われたデモには1万7千人が参加し、「私たちが第二波だ!」とうたいながら、もちろんそのほとんどの参加者がマスクを着けず、1.5mの距離も守られなかった。
ドイツ警察はデモ隊に対して何度もマスク着用と社会的距離の確保を呼びかけたが、実行されず、最終的にこのデモの主催者が起訴された。「パンデミックの終わりー自由の日」と題されたこのデモはナチ党党大会を記録した映画「自由の日!ー我らの国防軍」からもじられたもので、デモにはアンチワクチン活動家や極右・ネオナチグループなども参加した。ドイツでのアンチマスク着用デモはそもそも、芸術家や活動家が始めたが、近頃ではそこに極右の人たちが加わり、違った意味合いを色濃くしている。

パリ最新情報「マスク着用反対ドイツ人がデモ。メルケルの苦悩」




アンゲラ・メルケル保守党との連立政権、少数政党である社会民主党のサスキア・エスケン党首は、彼らを”Covidiots(コヴィッドバカ)”と非難し、”社会的距離なし、マスクなし:彼らは私たちの健康を危険に晒すだけでなく、パンデミックに立ち向かった私たちの成功、そして経済、教育、社会の回復をも危険に晒す。無責任たち!」とツイートした。

このニュースに対する、フランス人の反応が興味深かった。中には「我々も立ち上がるべきだ!」という人もいたが、どちらかと言えば、否定的な意見の方が多かった。

「ドイツ人はフランス人よりしっかりしていると思ってたけど、違うのは言語だけのようだ」
「エゴイストでしかない」
「バカに打つワクチンの開発はいつだ?」
「予防措置を拒否するならば、同時に自分が新型コロナに感染してもあらゆる治療を拒否してほしい。それならば筋が通る」
「Covid-19で12万人近くのフランス人が入院して、5,500人はまだ入院している。3万人が死んでいるんだ。その事実は何も考えさせないのか」などなど。




普段はまともなことを言うのがドイツ人と相場が決まっていたが、なぜ彼らがマスクを着けないことが自由を守ることに繋がるのか、その重要な理由が、今一つよくわからない。もちろん、これがドイツ人の主流の考え方だとも思わない。ただ、ドイツは欧州の中でもコロナ優等生というイメージが強かったが、国の中に敵が大勢いたようだ。ただの政権批判にしか感じられない騒動と捉えるべきかもしれないが、このパンデミックの真っ最中の大規模なデモ…。いったいドイツはどこへ向かおうとしているのか。

パリ最新情報「マスク着用反対ドイツ人がデモ。メルケルの苦悩」

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