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パリ最新情報「感染者数なんかどうでもいい。大事なのは実効再生産数だ」 Posted on 2020/07/22 Design Stories
連日、日本の、特に東京、大阪のコロナ新規感染者が増え続けているというニュース。なぜか、日本は感染者数の話題ばかり先行するが、感染者数はもちろん大事だが、感染者数だけではコロナの拡大イメージが掴みにくい。フランスの場合、新型コロナウイルス感染状況は4つの指針で観察されている。
1.感染者数の割合、
2.PCR検査の陽性率、
3.実効再生産数、
4.集中治療室の稼働率だ。
日本でも、このことに気が付いて報道をしはじめているメディアも出てきた。特にフランス政府が注目しているのは検査の陽性率より、Rゼロと呼ばれる実効再生産数なのである。ちなみに、フランスのロックダウン解除時(5月11日)のPCRテストの陽性率は1.9%、実行再生産数は0.77人(感染拡大時は3人)だった。そして、第2波到来が懸念されているフランスは現在、陽性率1.2%、実行再生産数1.2人となった。東京の陽性率が5%超え、実行再生数が1.4人、重症者の数が上昇傾向であるというのはちょっと不安な状況である。では、この実効再生産数とは何か、について今日はものすごくわかりやすく説明をするので、下のグラフをご覧頂きたい。
実効再生産数は1を下回ると、コロナ感染が収束へ向かっている可能性を示唆することになる。逆に1を超えると黄信号が点ることになる。グラフの左側は実効再生産数が0,5ということなので、10人の感染者の中に4人の感染者がいた場合、その2週間後、10人の中で感染者が2人となり、その2週間後、ゼロになっていることを示す。逆に右側の実効再生産数が1,5の場合、(これが実は今の東京なのだ)10人の中に4人がいたら、2週間後、6人に増え、その2週間後、10人のうちなんと9人が感染している、ということを示している。東京が現在この状態にあるということを想像してみてほしい。
この実効再生産数は1以下であることが感染状況における一つの大きなポイントで、0に近ければ近いほど良い。では、この数字がどのように算出されるのかというと、実効再生産数R0=ßcDである。
ß=接触時にウイルスに感染するリスク(そのため、少なくとも1メートルの社会的距離が推奨されている)
c=一定時間内の接点数(接点数が半減するとR0が半減する)
D=感染者の感染日数(コロナウイルスの場合は最大14日)
フランスもその実効再生産数1を超えてしまい、これ以上のウイルスの蔓延を防ぐため、今回のマスク着用義務が適用された。感染者数も大事だが、つまり、もっと大事なのは実効再生産数なのである。アメリカのCDCが「報告されている感染者数の十倍が現実の感染者数だろう」と今日、発表をした。イランのロウハニ大統領は「2500万人が感染している」と唐突に発表をして議論を巻き起こしたが、CDCの発表と合わせると真実味がわく。現在全世界で1500万人が感染報告されているが、その十倍が実際には感染していることになる? これは我々が思う以上に新型コロナウイルスが拡大していることを物語る、試算ではないか。だからこそ、私たちが注目すべきなのは、実効再生産数、ということになる。