PANORAMA STORIES
パリ滞在 Posted on 2020/07/10 小川 裕子 トラベルコーディネーター フランス北西部ノルマンディー地方
コロナウィルスの影響で3月中旬から閉鎖していた観光施設も、少しずつ再開し始めた。第二波の心配も あったが「観光客目線で今のパリを見てみよう」と 7月5日から2泊3日のショートトリップを計画。オペラ座界隈のホテルへ滞在しながら人気観光地「ルーブル美術館」「エッフェル塔」「ヴェルサイユ宮殿」のモデルコースを作ってみた。パリの美しい街並みと共に、旅で感じた事を紹介したい。
旅の始まりは、出発前の予想外のハプニングから始まった。
6月末に美術館・ホテル・レストランの予約を終え、久々のパリ散歩に胸を躍らせていた7月2日、1本の 電話が鳴った。「7月6日ホテルを閉めなければならない事になった」と滞在予定のホテルから電話がか かってきたのだ。今回旅のメインが「ルーブル美術館」見学だった為、向かいリヴォリ通りにあるホテル を予約していたのだが、ヴァンドーム広場脇の系列ホテルへと滞在先の変更を提案された。
コロナの影響もあるし、ホテルもきっと大変なのだろう。大した距離でもないから変更を承諾したが、2泊だけの滞在で1泊ずつ別のホテルは面倒なので、2泊分を変更したい旨を伝え電話を切った。しかし、その直後に届いたホテルからのメールには、簡素なメッセージと変更先ホテルの住所だけだった。このままでは、6日分だけ変更され5日は2重払いになってしまう可能性もある。
現地到着後にトラブルにならぬよう、予約確認書の再送の催促メールを出したところ『6日のもの1泊で 宜しいですか』と返信が来た。電話で『2泊分の予約を変更したい』と説明をした10分後に、だ。なので、チェックイン・チェックアウト、予約時のコンディションを明記した書類を即作成し再送、そこから10通 ほどのやり取りがあった。パリの4ッ星ホテルレベルでこのやり取りはいかがなものかと感じた。
出発前からこんな状況で、雲行きが怪しい旅行になりそうだと感じたが、パリ到着時「エッフェル塔」で出会った見事な光のシャワーが不安な心を洗い流してくれた。
6月末の再開直後は階段のみだったのが、エレベーターも第二展望台までは再開した。今まで長蛇の列に並んだ思い出しかない「エッフェル塔」、今回もそれを想像していた。
が、到着した7月5日18時の塔のふもとはガラガラで、営業時間が終了したのかと思ったほどだった。
エレベーターも私だけで貸し切り状態だった。
パリ2日目の朝7月6日は「ルーブル美術館」へ足を運んでみた。世界で最も入場者数が多い美術館の一つでもある「ルーブル美術館」、約4か月ぶりに再開した初日6日は、入り口にカメラを持った報道陣・ジャーナリストが多く詰めかけていた。普段ある日本語のパンフレットは置いて無く、小さな簡易の地図だけが入り口近くに置かれていた。今後また変わるかもしれないが、近日中に足を運ばれる方は、詳しい館内図の載っているガイドブックやパンフレットを持参されることをお勧めする。
10時の予約で入場しのんびり見学しながら、レオナ ルド・ダ・ヴィンチの名画「モナ・リザの微笑」が 展示されている部屋に到着したのは15時だった。
床にはソーシャルディスタンスを確保するために青 い丸印がつけられていた。普段は絵画の目の前は大 混雑だが、人と人との間隔があいているおかげで、 並びながらでも十分絵画が楽しめる。
並び始めて15分で名画前にたどり着いた。
「モナ・リザ」とツーショット写真をゆっくり撮れ るのもこの機会ならではの魅力かもしれない、と感 じた。
そして最終日の7日は豪華絢爛の代名詞ともいえる「ヴェルサイユ宮殿」を訪れた。太陽王ルイ14世の 権力の象徴「ヴェルサイユ宮殿」は何度訪れてもその美しさに魅了される。こちらは事前に携帯にアプリ をダウンロードしておいたおかげで、日本語のガイダンスを聞きながら自分のペースでゆっくり見学する ことができた。また入り口では各言語のオーディオガイドも無料で貸し出されていた。
最後に、心配していた変更先のホテルは、歴史ある素敵なホテルだった。コロナウィルスの影響で朝食は ビュッフェスタイルではなく、ウェイターが一人一人に運ぶスタイルとなっていた。プラスチックで覆わ れた皿が運ばれてきた時にはちょっとびっくりしたが、衛生面としては安心できる。また、部屋食も可能だった。
チェックアウト時は若干のミスがあったが、変更前のホテル予約責任者がきちんと説明していなかったの だろう。このような状況下だし、しょうがない。にこやかに対応をしていたら、フロントスタッフのこわ ばった顔が和ぎ笑顔がこぼれた。お別れはやはり笑顔が一番だ。
高速を走りながら最後に見えた「エッフェル塔」にサヨナラを告げ、ノルマンディーへの家路についた。
目を閉じたら、展望台から見えた見事なダブルレインボーの景色が再度浮かんできた。モンマルトルの丘 の上からうっすらと1本、グラン・パレの上から1本、2本の虹が出迎えてくれたパリ。ダブルレインボーは幸運のサインとも言われている。コロナウィルスの影響で多くの方が先の見えないストレスを感じる中、「明るい未来が待っているよ、頑張って」そんなメッセージが届いた気がした。
Posted by 小川 裕子
小川 裕子
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トラベルコーディネーター
フランス北西部ノルマンディー地方在住の旅コーディネーター。2007年よりノルマンディー地方在住。フランス労働省認定 観光カウンセラー免状保持。ノルマンディー地方にて現地の方との触れ合いを大切にした旅もコーディネートしている他、旅番組や雑誌、ガイドブックなどへノルマンディーの魅力をお伝えする活動を展開中。