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パリ最新情報「ロックダウンは出来ればしたくない。第二波、各国政府の苦悩と怖い話」 Posted on 2020/07/05 Design Stories  

東京の感染者数が急増しているが、これは東京だけに限ったことではない。第二波らしきうねりが現在、世界各地を襲いはじめている。もちろん、その波の大きさや威力はまちまちだし、まだ小さいものがほとんどだが、各国政府はこの波が大きな波になる前につぶそうと躍起になっている。ここで、出遅れるとアメリカ州のような甚大な被害を出してしまいかねないから、当然であろう。

ロックダウンは出来ればしたくない、というのが各国の本音だ。ただでさえ、ロックダウンのせいで各国の経済力が大幅に低下した。ここで再びロックダウンをすると国が立ちいかなくなる。それを避けたい政府の苦悩をよそに、新型コロナウイルスは恐ろしいほどの再拡大を開始している。



6月末までにロックダウンの完全解除を目指していたスペインだが、新規感染者が7月2日(木)に3,551人、3日(金)3,706人と続き、二日間で7000人を超えた。これを受け、感染者の多いカタルーニャ州のレリダ市周辺を4日から封鎖(ロックダウン)した。カタルーニャ州では20万人を対象にした封じ込めが行われ、その地域への出入りが制限されることになった。

オーストラリアのメルボルン、ビクトリア州の10か所の地域でも7月2日からロックダウンが再開されている。ビクトリア州では6月6日に感染者0になっていたが、そこからじわじわと増え始め、1日の感染者75人という数字を記録し、感染者の集中する地域でロックダウンが再開されることになった。期間は最低4週間である。

上のグラフは、ビクトリア州の感染者の推移を描いたものである。その下の東京の感染者のグラフと比較してもらいたい。驚くほどに似ている。

パリ最新情報「ロックダウンは出来ればしたくない。第二波、各国政府の苦悩と怖い話」

※9News

パリ最新情報「ロックダウンは出来ればしたくない。第二波、各国政府の苦悩と怖い話」

※NHK

一番初めにロックダウンを再開したのはドイツである。6月23日よりドイツ北西部にある食肉工場でアウトブレイク(集団感染)が発生し、驚くべきことに、少なくとも1500人以上が感染した。それを受け、工場のある付近で50万人を対象に封じ込めが行われている。

同じく、ポルトガルではリスボンとその近郊の地域、イギリスのレスターでも再ロックダウンが行われている。

フランスは、7月3日の新規感染者は582人、4日の数字は土曜日だったので出ていないが、上がったり下がったりを繰り返しつつも、いつ第二波に襲われてもおかしくないような不思議な状態にある。たとえば、市民が利用するパリのメトロの職員から3人の感染者が出た。現在、この職員らの周辺での徹底したPCR検査が行われている。

新型コロナによるイギリスの死者数は4万人を超えているが、もしも、ロックダウンが一週間早ければその数を半分に減らせていたのではないか、と言われている。ジョンソン首相は当初、集団免疫に拘り、ロックダウンに躊躇した。その僅か一週間の迷いが大幅な死者を出す結果を招いている。これは、アメリカを見ていればよくわかる。膨大な予算を投じられたCDC(アメリカ疾病予防管理センター)という世界最高峰の感染症対策の総合研究所がありながら、トランプ大統領の采配ミスで信じがたい死者を出す結果になった。これはブラジルも同じだ。



この世界情勢から学べることは、新型コロナの拡大を防ぐ唯一の方法は、先手先手の封じ込めしかない。大規模なロックダウンをやれば経済が低下し、経済の門を開けば感染者が増加するというパラドクスに陥っている。第二波を交わしながら、経済を回すためには、早くてち密な政治的判断としらみつぶしに似た先手先手の封じ込め政策にかかっている。

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