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子供が大好き、フランスのお母さんたちの定番家庭料理、コルドン・ブルー。 Posted on 2021/10/23 Design Stories
スイス生まれの「コルドン・ブルー」は、仔牛肉を薄く伸ばし、ハムとエメンタールなどのチーズを挟んで揚げ焼きにしたもの。もともとスイスでオーストリアの名物料理シュニッツェル(仔牛のカツレツ)をとして作られたもので、その後、庶民的なチキンバージョンが作られ、現在ではコルドン・ブルーといえば、チキンや七面鳥を使っていることがほとんどです。要は、チーズ入りのチキンカツなので、子供たちにもウケがよく、スーパーにはオーブンで温め直すだけの「できあいコルドン・ブルー」もたくさん出回っています。お肉屋さんでは正真正銘の仔牛のコルドン・ブルーを扱っているところもありますが、仔牛のひき肉でチーズを挟んだものだったり、形態はさまざまです。
ところで、コルドン・ブルーといえば、フランスを代表する料理菓子専門学校「ル・コルドン・ブルー」を語らずにはいられません。コルドン・ブルーとはフランス語で「青いリボン」という意味ですが、実は、「優秀な料理人」という意味で使われているのです。フランス人の友人を食事に招き、「君はコルドン・ブルーだね!」なんて言われたら、最高の褒め言葉。舞い上がって良いです。
では、どうして「青いリボン」が優秀な料理人なのでしょうか?
その起源は16世紀、宗教戦争の時代。聖ヨハネ騎士団を象徴する格調高いマルタ十字には青いリボンが付けられていました。そのことがきっかけで、高い地位にある騎士や学者、料理人を「コルドン・ブルー」と呼ぶようになり、その人たちを集めた食事会が ”コルドンブルーの会” と呼ばれ、後に、優秀な料理人=コルドン・ブルーが定着したのだとか。そして、19世紀に入り、一人の仏人女性ジャーナリストが初の料理週刊誌 ”ラ・キュイジンヌ・コルドン・ブルー” を創刊。大好評だったため翌年から有名なシェフを招いた料理教室の開催を始め、大成功。1896年、今や世界に名を馳せる料理製菓専門学校「ル・コルドン・ブルー」の創設に至ったそうです。(現在は世界5大陸35都市に学校がある)
では、この料理がどうして「コルドン・ブルー」なの?
実はそれははっきりとしておらず、中に包んだチーズとハムが焼いている時に出てこないよう青い紐がかけられていたからという説と、優秀な料理人(コルドン・ブルー)がこの料理を作り、とても評判が良かったのでそのまま「コルドン・ブルー」と名付けられたという説。料理上手が作る料理にしては少々簡単ですが、どちらにしても、みんなに愛される一品であることは間違いありません。
本物は仔牛肉で作ったものですが、チキンで作ってもあっさりとしていて、とても美味しいです。材料はチキンの胸肉とハム、チーズのみ。普通のチキンカツに飽きたら、ハムとチーズを挟んで「コルドン・ブルー」にしてみてはいかがでしょうか。
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