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パリ最新情報「ついにパリのカフェが再開」 Posted on 2020/06/02 Design Stories
6月2日、フランス全土のカフェが再びオープンしました。フランスはレッドゾーン(警戒地域)がなくなりほぼグリーンゾーン(安全地域)になりましたが、イル・ド・フランスと感染者の多い海外県は新たに設けられたオレンジゾーンを維持することになったのです。待ちに待ったこの日、常連客を中心にパリの人々はカフェライフを楽しむために近所の行きつけのカフェに向かいました。ただし、パリもオレンジゾーンなので、開店できるのはテラス席をもともと持っていたお店に限られます。席と席の間が1メートル以上の間隔をあけることも義務付けられています。お客さんも店内のトイレに立つときなどはマスクをしないとなりません。パリでおなじみのギャルソンたちも全員マスクが義務付けられています。再オープンをしたのですが、ちょっといつもと感じが違っています。でも、コーヒーの味が変わるわけではありません。開店と同時に地元の人たちが待ちわびたカフェにやって来て、店主やギャルソンたちと世間話しに興じておりました。もちろん、社会的距離を保ちながら…。
我々が取材した店では、営業時間は通常通りで、朝は6時から、22時半にキッチンが閉まるということでした。隣の席の年配の常連さんに声を聴きました。
「ずっと暗かったからね、こうやってパリにカフェを中心にした賑わいが戻って来たことがどんなにうれしいことか、このカップのあたる音、ギャルソンと客との会話、ナイフとフォークがあたる音、何もかもが私たちに希望を届けてくれるわ。戦争が終わって、パリに平和が戻って来たみたいな喜びと開放感に包まれているのよ。黙っていても笑顔になる。わかる? これがパリ本来の姿なのよ」
隣のムッシュが微笑みながら言いました。
「これはフランスの文化であり、伝統なんだ。第二次世界大戦の最中、ドイツ軍がパリを占領していた時期でさえ、ここパリのカフェは開いていたんだ。それが我々の誇りでもある。コロナなんかに負けるわけにはいかない。僕がどんなに今日を待ちわびたか、君たち、分かるだろ。ここがフランスなんだよ」
6月の22日からはテラス席のない普通のカフェやレストランも営業を再開することになっています。カフェのオーナーに取材を申し込みました。どのような全面再開になるのか、質問をぶつけると、政府の行政指導次第になるけど、実はまだ、その詳細はわかっていないんだ、でも、こちらでもイメージをして、準備だけは進めているんだ、ということでした。
「しかし、多分、カウンターは暫く無理だろうね。店内のテーブル席もやはり1メートルの間隔を保つことになるし、ひとテーブルは最大で10名までしか使えない。しかし、徐々に人々は戻ってくると思う。心配していたけど、みんな待っていたから、この通り、戻って来た。行政指導を守っていけば、ある程度の水準まで回復できると思う。安全であることが分かってくれば、人々は必ず戻ってくる。フランスからカフェやレストランの灯を消しちゃだめだ。皆さんが再び美味しい食事を楽しんで頂けるようにぼくらも全員で頑張りたい。観光客の皆さんにもまた戻って来てほしいな」
お客さんも店の方々も皆さん、明るかったのが印象的でした。長い冬が過ぎて、待ちわびた春がやって来たようでした。ともかく、今日からカフェが再開されました。常連さんたちは皆さん笑顔でした。夏を前にささやかながら、幸福なニュースが届けられて私たちも幸せです。少しずつ、世界が元の状態に戻っていくのを祈りながら、…。