JINSEI STORIES
暮らし日記「自宅で石焼きビビンバを作る唯一のコツ」 Posted on 2020/06/01 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、たまーに食べたくなるのが石焼ビビンバなのだけど、あの石焼き加減がなかなか自宅で再現できない。そこで、いろいろと研究を重ねて鋳物ホーロー鍋で作る方法に辿り着いた。鋳物ホーロー鍋といえば、ストーブとかル・クルーゼが有名だ。ストーブは料理人に愛される鋳物ホーロー鍋、もう少し一般的なのがル・クルーゼであろう。今回は、ル・クルーゼでやるが、実はちょっと注意事項がある。まずは材料、4人分である。
ご飯2合
もやし 200g
ズッキーニ 1本
ほうれん草 1束
人参 1本
長ネギ 1/2本
牛肉薄切り 300g
玉ねぎ1個
卵 人数分
もやしはさっと茹で、よく絞って水気をしっかりととっておく。ごま油大さじ1、醤油小さじ1、砂糖小さじ1/3、鶏がらスープの素小さじ半、おろしにんにく小さじ1/3、すりごま小さじ1を加え、よく混ぜて、塩胡椒で味を整えておく。
ズッキーニは薄切りにし、さっと茹でてよく絞り、水気を切る。とにかく水気をとることが重要。ごま油小さじ2、醤油小さじ1、塩胡椒で味付けしておく
ほうれん草は茹でて、お浸しのように切っておく。ごま油大さじ1、2倍濃縮つゆ小さじ1、すりごま小さじ1で味付ける。ぼくのビビンバはどっちかという和風。ほうれん草のお浸しおイメージで作るといい。
人参は千切りにし、塩をして10分ほど置き、こちらもよく絞っておく。酢大さじ1半、砂糖大匙半、塩ひとつまみで味付ける。
長ネギは白髪ネギにし、水にさらしてから、水気をしっかり切る。ごま油小さじ2、塩、豆板醤少々で味付ける。
牛肉は塩胡椒して、くし切りにした玉ねぎとフライパンで炒め、最後に焼肉のたれをかけて味付けしておく。(焼肉のたれ:醤油大さじ2、砂糖大さじ1、ごま油小さじ半、おろしニンニク、ショウガ各小さじ1/2を混ぜたもの)
さて、ここからがポイントである。ル・クルーゼなどのココット(鋳物ホーロー鍋)にごま油をひき、弱火で熱しながら、炊きあがった白ごはんを詰めていく。その上に各ナムルを並べ、焼肉を乗せ、最後に目玉焼きを載せる。で、ここが唯一のポイントだけど、最後におこげを作るために一瞬、強火にする。10秒くらいでいい。10秒くらいすると米がパチパチと爆ぜる音をたてるので、耳を澄ませ、米のおこげ状態がイメージ出来たら、火を止める。(ストーブやル・クルーゼは焦がし過ぎると取れなくなるので絶対やり過ぎないこと) 鋳物ホーロー鍋が無い場合、焦がすのが心配な場合は、蓋付きの分厚いフライパン(分厚いのが重要)などが便利かもしれない。熱が冷めにくいものであればいい。好みでコチュジャンを加え、よく混ぜて、食べてみて、あっという間になくなるくらいの絶品、「自宅で石焼きビビンバ」の完成となる。ボナペティ!