JINSEI STORIES
リサイクル料理日記「パン焼き機で簡単美味しいピザを作る3つのコツ」 Posted on 2022/07/15 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、今日は土曜日なので、ピザを作った。うちはパナソニックのパン焼き機(ホームベーカリー)で生地を作っている。で、ネットで「パン焼き機」と入力すると「ピザ生地、まずい」という検索結果が出てくる。え? なんでかな、と思って皆さんのご不満を読んだら、なるほど、これじゃあ、美味しく出来ないな、と思ったので、どうでもいいことだけど、ちょっとアドバイスをしたくなった。まず、一番大事なのは「配合」である。
※実はホームベーカリーが無くても、手ごねで十分美味しいピザが出来るので、パン焼き機を持ってなくても諦めないでね。レッツ・トライ!(笑)
実は自宅でもめっちゃ美味しく出来るのだ。デリバリーのピザも美味しいけど、自宅ならば、焼きたての状態で食べられるのだから、本来なら不味いわけがない。そもそも、パン焼き機のせいにしてはいけない。パナソニックの回し者じゃないけど、よくできているよ。ぼくはもう10年以上使ってるが、感謝しかない。パン焼き機は人間がやるのが大変な、骨が折れる作業の肩代わりをしてくれる優秀なロボット君に過ぎないので、使い方次第で、必ず美味しく出来る。(HBを使わないでも、手ごねでも当然美味しく出来る)ならば、これは美味しく作るしかない。ロックダウン中、辻家では週に一度はピザランチであった。息子のウケがいい。さて、じゃあ、マル秘配合をご教授したい。
まずは、パン焼き機で作る美味しいピザの配合、今回は家族4人の分量である。
小麦粉(強力粉)500g、塩が15g、イーストが3g、水が340mlをボウルの中で一度手ごねする。生地がまとまったらパン焼き機に投入し、ここオリーブオイル大匙1を加え、ピザ生地コースのボタンを押す。これだけなのだけど、まず、この配合が大事なのだ。出来上がったピザ生地、上から押すと、おおおお、めっちゃ柔らかい!
で、ピザ生地が出来たら、写真のようにオーブン皿の上に好きな形にして、トマトソースを敷いて、その上に具(サルシッチャソーセージ、モッツアレラチーズ、紫玉ねぎ、トマトなど、なんでもいい)を載せていくのだけど、ここでもう一つ超大事なアドバイスを。ようはなぜ、自宅でピザが美味しく焼けないかというと、ピザ屋との大きな違いは火力の差だ。予めオーブンをがんがん熱しておかないとならない。ぼくの場合、250度にして、30分弱、予熱状態に置く。オーブン内に石窯に負けない状態を作ってしまうのだ。十二分にオーブン内を熱くしてからピザの載ったトレーを入れるのだが、ここでさらにもう一つのコツを。オーブン皿は一番下段に置かなければならない。クイズ、なぜか?アンサー、ナポリに行けばわかる。本場イタリアの石窯はピザを石窯内にじかに滑り込ませる。底面をめっちゃ熱くするからパリパリになって美味いのだ。オーブンの上段に置くと、全体の周りはいいが、これではイタリアンピザにはならない。石窯の中に入れるような感じで、一番下段にぶち込むのがコツなのである。こうすることでお店のピザに負けない仕上がりとなる。配合、十分な予熱、下段置き、の3点を守れれば、間違いない。ピザの上にはお好きなものを並べればいい。
追加で、細かいコツを言うと、最初のメイン焼きの時にはモッツアレラを半分だけ置いて焼くといい。残りは焼きあがる直前に一度だして、バジルと残ったモッツアレラを足して、3分ほど焼いて緩ませることで味にバリエーションが出る。今回の量だと二枚出来るので、最初は下段に入れて焼き、バジルを載せる段で上段に移せば、下段で二枚目が焼けるという、技を繰り出せる。焼きあがったピザはナポリで食べるピザにも負けないパリパリの美味しいピザになっている。これで明日から誰もがピザ職人だ。ボナペティ―ト!