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フランス語の輪郭「じゅぽんす」 Posted on 2020/02/04 辻 仁成 作家 パリ

哲学の国、フランスですからね。フランス人はどこかみんな哲学的で、悪く言えば理屈っぽいのです。で、本当によくフランス人が使うフレーズが、今日学ぶ「じゅぽんす」。簡単に言えば、「私は思う」ということなんだけど、このフレーズが様々な場面で面白い効果を生み出し、同意としても使われれば、懐疑的な場面でも使われ、それが実にフランス的な表現でもあるわけです。この「じゅぽんす」を使いこなせるようになると、ちょっとフランス人に近づけますよ。

penser(ポンセ)は、思う、考えるという動詞。

「我思う、故に我あり」
Je pense, donc je suis. (じゅぽんす、どんく じゅしゅい)

という哲学者デカルトの有名な命題にもあるように、「私は思う」もしくは、「私は考える」と言いたい時、penser(ぽんせ)の前に主語のje(じゅ)をつけて活用し、Je pense(じゅぽんす)となります。

フランス語の輪郭「じゅぽんす」



普通はじゅぽんすの後に文章が続くのですが、相手からの質問に答える時、「じゅぽんす」だけで使用する事も可能です。

これってこうだと思わない? と同意を求められ、「そうだと思うよ」と答えたい時に、じゅぽんす。
明日のパーティー行くの? と聞かれ、じゅぽんす。と答えれば、「行こうと思っている。たぶんね」というニュアンス。

「そうは思わない」と答えたい時は否定形のneとpasをつけて、Je ne pense pas. じゅぬぽんすぱ。または、ぬを省略して、じゅぽんすぱ。でも通じます。

じゅぽんすを使って文章を作りたい時は接続詞の”que(く)”を加えましょう。
「Je pense que 〜」(じゅぽんすく〜) で、「私は〜だと思います」という文章を作る事ができます。

たとえば、
Je pense que ça va. (じゅぽんすくさば)といえば、「大丈夫だと思う」という意味になりますし、Je pense que c’est bien.(じゅぽんすくせびやん)といえば、「いいと思うよ」。
そして、Je pense que c’est mignon.(じゅぽんすくせみにょん)といえば、「かわいいと思うわ」となります。

Je penseのあとにàをつければ、Je pense à 〜(じゅぽんすあ〜)「私は〜のことを思う、考える」という意味になります。

男性から、Je pense à toi.(じゅぽんすあとわ)とメッセージがきたら、「君のことを考えているよ」という意味。その男性はあなたに気があるということなのです。やばいっすね。まだ、使ったことありましぇん(笑)。

じゅぽんす。



Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。