JINSEI STORIES
パリ最新情報「雨の日にル・ボンマルシェで気持ちをリセット」 Posted on 2020/01/16 辻 仁成 作家 パリ
パリの老舗百貨店のル・ボンマルシェで毎年のセールの期間に合わせて「白い展覧会」という大規模なアートとのコラボが行われていて、今年はなんと日本人建築家の佐藤オオキ氏(1977年カナダ生まれ)が主催するスタジオ、nendoだ。毎年一組のアーティストが招待される「白い展覧会」は五年前から続いていて、ぼくも楽しみにしている。この時期「新しい気持ちで新年をスタートさせよう」というコンセプトで白い生活用品を対象にしたセールが行われており、それにあわせての「白い展覧会」なのだそうだ。いいね。ボンマルシェのショーウインドーもnendo作品が飾っているし、管内の天井には巨大な白い雫のようなオブジェがぶら下げられていて、それが開いて花になったり、可愛い。
二階の広い展示場では白いボードウオークのようなセットの上を一般の人たちが傘を持って歩くことが出き、どういう仕組みかわからないけど、透明の傘のカゲの中に模様が浮きあがって和ませてもらえる。女性の係りの人に、「やりませんか?」とぼくもすすめられたけど、いつもブーツだから脱ぎずらくて、笑、素敵な老夫婦がやっているのを見守った。憂鬱な雨の日にも、なんだか、穏やかな気持ちを取り戻したくなるような、見方によっては、捉え方によっては、どんな状況でも人間はおだやかさをイメージできるのだ、といいたげな、優しいインスタレーションであった。2月16日までやっているらしいよ。AME NOCHI HANA展、by nendo