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父ちゃんの料理教室「パリジェンヌに超人気、ヘルシーなレバノン料理をご紹介」 Posted on 2022/04/29 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、とにかく、ぼくが毎週、必ず食べに行くのが、カルロス・ゴーンさんで話題を集めたレバノンのメッツェとよばれる野菜のプレートなのだけど、昼時になると、レバノン・レストランに働くパリジェンヌたちが集まって来て大賑わいとなる。
とにかく、健康にいいのだ。ヘルシーなんてものではない、美しく若さを保つための食材しか入ってない。ひよこ豆、パセリ、ナス、とにかく、それしか食べないので、ベジタリアンなのに、お腹も膨らんで、とってもバランス感のある料理なのである。食べ応えがあるのに、野菜だから、胃にもたれないし、パセリをふんだんに使うので整腸作用もあって、人気があるのも頷けるのだ。

父ちゃんの料理教室「パリジェンヌに超人気、ヘルシーなレバノン料理をご紹介」

日本人には馴染みがないレバノンという国、ところがフランス、とくにパリにはこのレバノン人が結構たくさん暮らしている。
フランスとレバノンの関係も悪くない。
レバノン人のことをフランスではリバネという。レバノン料理のこともリバネだ。昨今、健康食として特にパリジェンヌのあいだで大注目されているの、パリおやじのぼくも月に数度はレバノン料理を食べに行く。

父ちゃんの料理教室「パリジェンヌに超人気、ヘルシーなレバノン料理をご紹介」



ぼくは野菜が大好きなので、Mezze、メッツェ(8種類の前菜の盛り合わせ)を必ず頼む。
息子はケバブが好きなので、それにちょっと似ているレバノン風鶏肉のサンドイッチを頼む。
これを分け合う。
どちらも大皿にぼんと載って来るので、分け合って食べるのにちょうどいい。フレンチだと分けるのは嫌がられるけど、レバノン料理は気にする必要がない。わいわい、食べられるところも魅力である。

お肉料理にはレバノン風サラダが添えてある。
ぼくは「ベイルート」とう街の名前を冠したビールが好きだ。
料理の前にピンク色の大根の酢漬けと万願寺唐辛子みたいなピクルスが必ず出てくる。この大根は日本のおしんこそのもの。コンビニ弁当によく入っている大根の桜漬けに見た目も味もそっくりなのである。それとレバノンのピルスナービールの相性がなんとも素晴らしい。これ、日本の味じゃないか。

父ちゃんの料理教室「パリジェンヌに超人気、ヘルシーなレバノン料理をご紹介」



父ちゃんの料理教室「パリジェンヌに超人気、ヘルシーなレバノン料理をご紹介」

メッツェは中央にあるのがひよこ豆のコロッケ、ファラフェルである。ヨーグルトソースがかかっている。
黄なり色のムースはひよこ豆のピュレ・ペースト(フンムス)、その隣が、焼いて皮をむいた茄子をすってつぶしてニンニクやオリーブオイル、スパイスであえたピュレ・ペースト(ババ・ガンヌージュ)、黄色いのが色付き野菜のピュレ・ペースト、そして、レバノン料理を代表するパセリのサラダ(めっちゃ体にいいらしい)。
ほうれん草のパイ、子羊のパイ、牛肉のコロッケ(キッビ・マグリーイェ)の8種類となる。
レバノンの薄いピタパンが添えられていて、それで掬って食べる(ぼくの場合…)。挟んでサンドにして食べる人もいる。

息子の大好物は鶏肉のレバノン風サンドだ。ケバブ風にレモンでマリネされた鶏肉を削ぎ切りしてあり、先ほどの薄いピタで挟んである。
添えられてるのはレバノン風サラダ(中華サラダのように揚げたカリカリのピタがふりかけられている)。
どれもヘルシーで、食材の味を大切にしていて、素朴さと優しさが満ちている。
ぼくが知っているレバノン人は、皆さん、真面目で控えめな人たちばかりだ。
とにかく、健康志向のパリジェンヌたちに愛されるレバノンのメッツェ、これは食べるしかない。

父ちゃんの料理教室「パリジェンヌに超人気、ヘルシーなレバノン料理をご紹介」

メッツェの中には、ひよこ豆やナスのペーストが入っている。そのペーストをキャビアと呼ぶ。ちょっと簡単に茄子のキャビアの作り方をここに最後に記しておきたい。※一番上のメッツェの写真、左下のとろっとしたペーストがナスのキャビアである。茄子の粒粒がキャビアを想起させるのでこの名が付いたという説がある・・・(よくはわからないけれど、笑)

まずは、材料:茄子(1,2本)、にんにく(ひとかけら)、オリーブオイル、パルメジャーノチーズ少々、アンチョビ一尾、塩コショウ、レモン汁があれば、OK。
作り方:茄子を適当なサイズに、角切りにし、フライパンで焼いて、しんなりとろっとしてきたら、ボウルに。茄子を炒めたフライパンでニンニクのみじん切りにオリーブオイル、香りを移したら、同じボウルに。これらをフードプロセッサにいれ、上記の調味料などすべて入れ攪拌させ、ペースト状になったら完成だ。バゲットなどに塗って食べる、最高なのである。
ボナペティ。

つづく。



今日も、読んでくださり、ありがとう。

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