PANORAMA STORIES
フランスの歌姫、ミレーヌ・ファルメール2019コンサートはじまる! Posted on 2019/06/10 マント フミ子 修復家 パリ
6月7日より、フランスを代表する歌姫、Mylène Farmer(ミレーヌ・ファルメール)のコンサートが始まりました。
ミレーヌ・ファルメールはカナダ出身の女性シンガー。1984年にフランスでデビューして以来、30年以上トップシンガーの座を維持し続けています。ミレーヌ・ファルメールといえば、短編映画並みの長くアーティスティックなPVを発表すること、そして、その曲やPVの内容がとてもショッキングで挑発的だということで有名です。哀しみ、死、自殺、鬱、性の同一性、近親相姦、虐待、エイズ、宗教の偽善、多重人格、核・・・などなど、絶えず”タブー”と言われる主題を描き話題をさらってきました。ミレーヌ流エスプリが効いた強いメッセージ性を持つ歌詞と軽やかなメロディに乗せて甲高く響く歌声。その絶妙のバランスがフランス人を長く魅了してきたのでしょう。また、ミレーヌはメディアに露出しない事でも有名で、ヴェールに包まれた「ミレーヌ・ファルメール」を一目見たいファンたちは、唯一姿を現すこのコンサートを楽しみにしているのです。
大掛かりなセッティングで行われるミレーヌ・ファルメールのコンサートは2年に1度、パリのみで行われます。今回の舞台はラ・デファンスにある屋内ラグビースタジアム、Uアリーナ。キャパシティ4万8千人のこの会場で全9公演、ライブに関わるスタッフは1千8百人もいるのだとか。
私は音楽業界の友人からお誘いを受け、その噂のショーを鑑賞させて貰うことになりました。
20時開演と聞いていたのですが、20時に会場に着くと、まずはカクテルパーティーへと招待されました。30分ほど友人の横にくっついてフランス音楽業界の方々と挨拶を交わし、いよいよ会場へ。そこは既に、どこからこれだけの人が集まってきたの? というような人、人、人、で溢れかえっていました。
ミレーヌ・ファルメールのファン層は30代から50代が圧倒的に多いようですが、20代の若者グループや両親と来ている小さな子供の姿も見受けられました。フランスらしくシャンパングラスを片手にダンスをする人もいれば、ところどころでウェーブが起こったり、既に客席は熱気いっぱい。彼女のアメリカ的なショースタイルはマイケル・ジャクソンやマドンナにも比較されると聞いていましたので、周りの空気も手伝ってショーへの期待は一気に高まりました。
21時、いよいよ”ショー”が開幕。天井からぶら下がるサークルライトが上下に動き出したかと思うと、その上から本日のスター、ミレーヌ・ファルメールがゆっくりと降りてきました。
小柄で色白赤毛の歌姫が、特徴的な高い声で歌い出す。取り巻くダンサーたちのダンスも完璧です。私の隣にいた若い男性2人組はどうやら熱狂的なファンで、初めから最後まで狂喜乱舞。気絶してしまいそうな勢いでした。
特にMCもなく、「会いたかったわ」と「メルシー」くらいしか言いませんでしたが、『Pourvu qu’elles soient douces』や『Sans contrefaçon』など、大ヒット曲が始まると会場全体が言い合わせたかのようにスタンディングで盛り上がり、バラード曲でミレーヌが感涙、歌詞に詰まれば、客席が代わって歌い続ける__。
歓喜あり、涙あり、何ともよく計算された構成でした。
2時間のショーが一旦終わり、アリーナを埋める群衆が一気に流れ込む帰りの電車を想像した私たちは、アンコールを前に席を立ちました。「どこ行くの! まだ終わってないよ!」と何人もの人に呼び止められ、背後ではミレーヌ・ファルメールがショーを続けていました。
あと残り7公演、このショーを観るためにフランス、ヨーロッパ中から約40万人のミレーヌファンが集まります。
Mylène Farmer 2019: https://www.infoconcert.com/ville/nanterre-2305/concerts.html
Posted by マント フミ子
マント フミ子
▷記事一覧Mante Fumiko
修復家。岡山県出身。在仏30年。フランスに暮らしはじめ、アンティークの素晴らしさに気づく。元オークション会社勤務。現在はパリとパリ郊外の自宅にて家具やアンティーク品の修復をしている。