JINSEI STORIES
美術日記「日本とフランス美術館の感覚が違う。芸術を模写する人々。フランスでは認められている」 Posted on 2023/05/12 辻 仁成 作家 パリ
ぼくは、美術館の空気というか、佇まいというか、距離感というか、そこに集まった人たちも含め、居心地がいいところが好きだ。
個人的にはマイヨール美術館が好きだけど、どこかの財団が年に何回か開く特別感の高いエクスポジションも悪くない。
ルーブルは広すぎて滅多に行かないけれど、大きな美術館だとオルセーがやはり好きだ。
オルセー美術館に関しては大昔、世界文化社から一冊ガイド的な本を出したことがあるのでそこに譲るけど、若い頃はピカソ美術館の配置や照明の色味、壁の色合いなどにハマって通い詰めた。オルセーの館長も照明器具のポジションに一番神経を使うと語っていた。
もう一方で僕は美術館に集まる人を眺めに行く趣味もある。
そして、フランスの美術館にはとんでもなくラブリーな人たちがいつも集まっている。
撮影の許可を頂いて、僕はそういう人たちの写真を何枚か撮影した。
その向こう側に世界的な絵画や彫刻があるのだけど、この人たち、負けてない。
なんと台の上に立って、Peter Paul Rubensの作品を模写している女性がいた。
これはかつて一度も見たことがない凄まじい光景で、横に守衛さんがいるのだけど、お構いなし。つまり許可されているということなのだろう。
※ 日本では禁止されているらしい。日本とフランスの美術館の違いは、ここだと思う。
僕は恐る恐る近づき、
「マダム」
と声をかけた。
最初は聞こえなかったのか、或いは無視をされたようだが、気にしない。
「素晴らしい模写ですね。写真撮影をしてもいいでしょうか?」
するとマダムが僕を一瞥し、鼻で笑うと、いいわよ、とまんざらでもない感じで答えた。僕が撮影をすると、周囲の人たちが集まって来て、みんな静かな笑顔を浮かべた。
「マダム、素晴らしい写真が撮れました。サイトにアップさせて頂きますね。僕は辻と言います。辻です。日本の辻・・・」
マダムは僕を一瞥し、どうぞご自由に、という顔をした。
その横顔が微笑んでいるのが素敵だった。
一番大きなホールの一番目立つ場所で、腕を伸ばし、筆を立てて、距離感を図りながら緻密に描いている。さらに近づいて覗くとびっくりするくらいに精巧な模写で、ひっくり返るほど驚いてしまった。
すごい、あなたこそ画伯だ!!
つづく
今日も読んでくれてありがとうございます。
ぼくもたまに趣味で油絵を描いていますが、落ち着きます。アートはみんなのさて、そんな父ちゃんですが、6月の18日の日曜日に、右岸のたぶん、ルーブル美術館に近い場所から出発し、セーヌ川を渡って、左岸のサンジェルマン・デ・プレ界隈を散策するオンライン・ツアーを開催いたします。あの、小田光とマコちゃんが同行しますよ。ご興味ある皆さん、ぜひ、下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてくださいね。めるし。
ものです。たまには絵筆を握ってみましょう。
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