PANORAMA STORIES

今が旬、オランダ人もこよなく愛すホワイトアスパラガス Posted on 2022/04/27 まきの ななこ ライフスタイルキュレーター アムステルダム

この時期、じわじわと流通しはじめるオランダ産のホワイトアスパラガスについて、オランダから、、、
ライフスタイルキュレーターのまきのななこさんのレポートです。

今が旬、オランダ人もこよなく愛すホワイトアスパラガス

アスパラガスの主な産地はオランダ南部のブラバント州やリンブルフ州。日光に当たることで緑色になるとのことで、ホワイトアスパラガスは日光遮断フィルムに覆われて栽培されるそうです。
まさしく箱入り娘ならぬ箱入りアスパラガス。
土から頭の先をニョキニョキとのぞかせる姿は何とも愛らしく、こちらでは”白い貴婦人”と呼ばれているのも納得です。

江戸時代にオランダから日本に伝来した際には、”オランダウド”として紹介されたようです。
当時の人はどのように食したのでしょうか。緑のアスパラガスも大好きですが、やはりホワイトアスパラガスは別格。調理方法にも自ずと気合いが入ります。

シンプルに茹でてそのままむしゃむしゃいくのもよし。少しお洒落にオランデーズソース(溶かしバターと卵黄の温かいソース)を添えてもよし。彩り鮮やかにパセリとゆで卵のダイスを乗せれば栄養も満点。日本人ならマヨネーズをかけて食べるのもありでしょう。

どんな食べ方をしてもハズレなく美味しいホワイトアスパラガスですが、共通しているのは普段は食に大らかな(というかあまりこだわる方ではない)オランダ人もこればかりは自分のお気入りの食べ方スタイルを持っている人が多いということ。
ワインはアルザス産の白ワイン。
そして、食する際はあくまでもホワイトアスパラガスが主役! ということ。
周りを見渡すと溶かしバターに茹で卵とハムを添えて食べる人が多い気がしますが、茹で卵も固ゆで派、ポーチドエッグ派など人それぞれ譲れない好みがあるようです。

私はシンプルに茹でたてをむしゃむしゃが好きだったりしますが、鰹節をかけて柚子胡椒と燻った鴨と一緒に、なんて組み合わせも(日本酒が進んで)案外イケることも最近判明しました。
もちろん茹で汁もスープにして楽しむことを忘れずに。ひと束のホワイトアスパラガスからこんなにたくさんのインスピレーションを貰えるなんて。幸せです。
 



今が旬、オランダ人もこよなく愛すホワイトアスパラガス

おのずとレストランなどでホワイトアスパラガスを使ったメニューを目にする機会も多くなります。
そして、その際によく登場するのが”オランデーズソース”なるもの。

正直申し上げて、オランダは近隣諸国のベルギーやフランスに比べ、プロテスタントという影響もあるのか食文化は素朴であります。華やかな演出を盛り上げるソースなどのいわゆる外付け?モノはあまり見かけません。

というわけで、オランダの名前を冠するようなソースがあるとは! と浮足立つところですが__、早まることなかれ。やはりこちらはオランダをイメージしてフランス人が作ったソースでありました(涙)。

それでもなんだかオランダという名前が付いているだけで嬉しく感じ、見よう見まねで、バターとレモンと卵黄でそれなりに作ってみたりもします。
 



今が旬、オランダ人もこよなく愛すホワイトアスパラガス

海外生活が長くなるに連れ、和食にそれほどの執着がない大人ふたり家族の我が家では、日本の食材をあえて探すこともなく、地元のスーパーや市場で手に入る現地の旬の食材を、その日の気分で、ほぼ嗅覚と視覚のみに従って作るという生活。
でも、そんな”食”というとても基本的なことに少しでも喜びや楽しみを発見し続けたり、妥協しない姿勢を取り続けることが、どんな環境の国に行っても心身共に健やかに地域を愛し、生きていく糧になるような気がします。

オランダは小さい国ですが農業技術も進んでおり、種類は少ないかもしれませんが、国産の美味しい食材がスーパーや市場を埋め尽くしています。
「一年中世界中の美味しいものがいつでも食べられる」というのも幸せですが、その地で採れた、その季節だけの食材を安全にいただけるのも、また幸せだったりしますね。
 

今が旬、オランダ人もこよなく愛すホワイトアスパラガス

最後に、オランダ人のホワイトアスパラガスへの深い愛を物語るかのような、17世紀に描かれた静物画もご紹介。
当時から立派な容姿であったことがうかがえます。さぞかし高価で希少なモデルさんだったことでしょう。

皆さんも機会がありましたら、ぜひ旬のホワイトアスパラガスをお好みのスタイルで楽しんでみてください。
 

今が旬、オランダ人もこよなく愛すホワイトアスパラガス

 



地球カレッジ
自分流×帝京大学

Posted by まきの ななこ

まきの ななこ

▷記事一覧

Nanako Makino
ライフスタイルキュレーター。シカゴ、東京、モスクワ、ロンドン、、、一期一会に生かされて。新しいホテルやブランドなどの立ち上げに携わりながら様々な都市を巡り、2014年よりアムステルダム在住。オランダ語見習い中。放浪癖あり。