PANORAMA STORIES
新しい中東女性像を祝したドバイの国際女性デー Posted on 2018/04/26 川端 芽衣 プランナー・Vogue Japan Blogger ドバイ
#WomenMarch で賑わった3月。
ここ、中東ドバイでも街をあげて国際女性デーがお祝いされました。
中東のイスラーム女性は、一夫多妻制や全身をローブでまとう必要があったりと、食事・行動・法律における制限が何かと多く、一見保守的な印象もあります。
しかし実際に中東地域に住んでみると、”イスラーム女性”と一言ではくくれず、キャリアを求めて近隣諸国から駐在している女性をはじめ、ドバイでは女性の裁判官やパイロット、それにCEOが女性の企業もたくさんあります。
また、裕福な家庭のミレニアル世代の子の多くは、アメリカやヨーロッパへ留学に出て、自国へ戻りビジネスを始める方もいます。
ドバイの若者に大人気のハンバーガー屋”SALT”のCEOは20代の女性だったり。
一昨年には中東地域で初めて”Vogue Arabia”が創刊され、サウジアラビアの皇女が編集長に就任しました。
昨年には、中東諸国の中でも最も女性にとって規律が厳しいとされるサウジアラビアでも、女性の自動車の運転がはじめて認められました。
今年にはいってからは、NIKEから”NIKE Hijab”というイスラーム女性のための肌を見せないスポーツウェアも発売され、ここ数年でイスラーム女性にとっての表現や行動の自由の広がりを感じることができます。
数えるだけでも、ここ数年で表現や行動の自由の広がりを感じます。
特にその中でもドバイは、人口の8割を外国人が占めるので、食事や服装などの慣習も比較的自由が多いです。
そんなドバイにある世界一大きなショッピングモール、「ドバイモール」では、3月、中東女性の貢献や成功をお祝いし、さらに女性のエンパワーメント、インスパイアすることをテーマとしたイベントが開催されました。
<ドバイモール、国際女性デーの様子>
セールはもちろん、カフェやレストランでは女性向けの割引や特典、無料メイクブースやライブペインティングはエミラティをはじめ、世界各地から集まった海外赴任者や観光客で大賑わい。
特に、高級ブランドの店頭では、”Arab Women Award”で表彰された女性達からの力強いメッセージが並びました。
その隣には”For the Women”という女性から女性に向けたメッセージを書き込めるパネルが設置されています。
真剣に読みすすめる若い女性、ほほえみながら読む老女、一生懸命に覚えたての文字を書く小さな子供まで。
女性の、女性による、女性のための、誰もが一度は感じたことのあるような、心にすっと入り込む言葉が何百と並んでいます。
その言葉ひとつひとつは、まるで彼女達ひとりひとりの人生図のように彩られていました。
出典:instagram @thedubaimall
今年の世界経済フォーラムが発表した世界男女平等均等ランキングでは、日本は114位(144カ国中)。
ドバイがあるアラブ首長国連邦は120位。
G7の中で平均を下回っているのは日本のみ、また、日本の前後には中東や中南米の国が並びます。
いつか世界に「国際女性デー」という言葉がなくなる日は来るのかな。
Posted by 川端 芽衣
川端 芽衣
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プランナー・Vogue Japan Blogger
編集者を経て、現在コスメブランドのプランナー。作り手の見えるものが好き。University of the Arts London在学中。
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今こそ知りたい、ハラルフード。 Posted on 2017/05/30 川端 芽衣 プランナー・Vogue Japan Blogger ドバイ
マンハッタンやロンドンの街を散歩すると、たまに見かける「HALAL」の看板。
一本路地を入ったところや、地元の人が住む駅付近など、
メインより少し外れたところで「ハラルフード」のお店を一度は目にしたことがあるはず。
ハラルって、お肉を使わない食事? 宗教的な料理? イスラム教徒以外も入れるの? 食べれるの?
なんとなく知ってるようで、知られていないハラルフード。
そんな「ハラルフード」が今、世界で注目されはじめています。
今日はその「ハラルフード」に迫ります。
一体、ハラルフードって何?
遡ること6世紀、イスラム教が誕生したころ、
コーランという今でいう「生活の知恵」を記した聖典が生まれました。
その一節に「Halal(=合法)」という、イスラム教徒が食べて良いもの、そうでないものが書かれています。
これが「ハラルフード(=合法な食事)」の起源です。
そんなわけで、ドバイはじめ中東諸国のイスラムを国教とする地域では、
カフェ、レストラン、スーパー、全てが「ハラルフード」対応。
具体的には、一般的なハラル(合法)でいうと、「豚肉」や「お酒」でしょうか。
中東地域で、基本的には「豚肉」も「お酒」も目にすることはありません。
ドバイ在住の私はイスラム教徒ではないものの毎日がハラルフードです。
誰が、いつ、食べるの?
基本的には、イスラムを国教とする地域は「ハラルフード」がベースです。
世界中のイスラム教徒の人は、基本的にハラルフードを食べています。
とはいえ、海外移住者が8割を超えるドバイはダブルスタンダード。
リカーライセンス(購入承認免許)があればお酒は買えるし、
ホテルや一部レストランではお酒も飲めるし、豚肉は簡単に購入できます。
一方で、隣国サウジアラビアなどの厳格な国では、イスラム教徒以外の人達でさえ、アルコールや豚肉を一切禁止する国もあります。
この地域性や、信仰の深さによって、コーランの捉え方に奥行きがあること。
ここに人間らしさや、イスラムの面白さがあるのではないかと思います。
NYのファッション街イースト・ヴィレッジにある「肉屋」
ファッションショーやハイブランドが並ぶ、マンハッタンのイーストヴィレッジ。
ここにハラルの「肉屋」があり一世を風靡しました。
なぜなら、お客さんの90%が非イスラム教徒。
マンハッタンという土地柄で価格帯も安く、安全で清潔な処理をされた肉を求めに来るそうです。
最近では同じマンハッタンに、ハラルのハンバーガー屋もオープンし、オーガニックの次の流行として話題になっているみたい。
Londonのスタイリッシュなハラルカフェ
ロンドンの西は、ノッティングヒルやチェルシーなどの高級住宅街にも近く、パディントン駅にはアラブ系のお店が並びます。
一見、ヨーロピアンなファサードには「ハラル」のマークが!
アラビア語メニューが用意された「Java U」には、ヒップで洗練された空間とハラルの食事があります。
それだけ、ロンドンにはハラルの需要があるのです。
見直されはじめた「ハラルフード」の意識
そんな「ハラル」が今なぜ注目されるのか。
もともとハラルが生まれた理由にも根拠があり、
預言者ムハンマドが豚嫌いだった訳でも、酒癖が悪すぎて禁酒しはじめた訳でもありません。
「自分が口にしているものが、どこから来て、それが何かを知ること」
「自分の健康のために、それが良いものかどうか自分で判断できること」
と、ハラルを守ることで、自分の健康を意識する力が自然と備わります。
また、豚肉やお酒は、意外といつの間にか摂取しすぎてる可能性があります。
例えば調味料の「みりん」や「ブイヨン」には豚肉エキスやアルコールが含まれています。
よく考えてみると、豚肉エキスって一体何…?
アルコールって一概に書かれてるけど、一体何…?
と「?」が浮かんできたり。
モロッコ出身の友人の家で、アフタヌーンティーをした時、
はちみつ、アルガンオイルのペースト、モロッカンティ、全てが手作りでした。
「ハラル」の考え方で食事をすると、「自分の体と向き合う力」が備わるのです。
未来の自分は、今口にしたものから作られます。
24時間いつでも簡単に食事が手に入る時代だからこそ、「自分が日々何を食べているのか」知ることは大事なのかもしれません。
他宗教に対する理解や興味は、時に、新しい価値観や発想をもたらし、
人生を豊かにしてくれることがあります。
何かと話題になりやすいイスラムですが、自分の目で、耳で、舌で、体験することで、ニュースでは報道されない、見たこともない世界が広がっているかもしれません。
Posted by 川端 芽衣
川端 芽衣
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プランナー・Vogue Japan Blogger
編集者を経て、現在コスメブランドのプランナー。作り手の見えるものが好き。University of the Arts London在学中。