PANORAMA STORIES
雨上がり、秋のハーグの森で。 Posted on 2017/09/30 荒井 瞳実 母 オランダ・デンハーグ
雨が降るごとに、秋が深まってきたと感じるオランダ、デン・ハーグです。
オランダに着地するまでの約5年間、バリ島、台湾と南国暮らしをしてきた私たちにとって、秋は特別な季節。胸がきゅんとするような、静けさと寂しさがお腹に染み込むような、センチメンタルな時間の到来です。
しかし、強い風と雨が降ったりやんだり、まさにオランダらしい気候が続くと、美しい秋への想いはどこへやら、気分もすっかり落ち込んできます。
これではいけない。外に出てこの秋を満喫しなくては! 寒い冬が来る前に!!
そんな焦る気持ちから、最近は雨雲の動きをみることのできるアプリを携帯にダウンロードし、晴れ間が出そうになったら「ほら! 行こう!」。
ジャケットを着て、長靴を履いて、空が少し明るくなると飛び出します。
すぐに雨が降り出しそうなときは、家の前でヘーゼルナッツ拾い。バケツいっぱいに拾ったヘーゼルナッツは、子どもたちのおやつになります。金づちを振り下ろし豪快に硬い殻を割り、中のナッツを口の中へ。
4歳と6歳が協力して、長い間遊んで? 食べて? くれるので母は大助かりです。
ちょっと長い晴れ間があれば、徒歩5分のハーグの森へ。
都会の中心にどっかりと根を下ろすハーグの森は、110haという広大なものです。カフェも自動販売機もトイレもない公園は、犬の散歩をする人、ジョギングをする人、ベンチで読書をしたり、芝生で寝転ぶ人もいて、まさに市民の憩いの場です。
雨上がりに森に足を踏み入れると、ひんやり、しっとりとした空気に包まれます。
水たまりに映る木漏れ日や、風で舞う葉は、子どもたちだけでなく大人の目も癒してくれるよう。
様々な長さの木の棒を並べて即席木琴を作り小さな演奏会をしたり、きれいな石を拾ったり、鳥にパンをあげたり。
ブラックベリーが食べ放題の季節は終わってしまっても、自然の中での遊びはどの季節も飽きることはありません。
時にはおやつとお茶を持って、時にはやわらかい音色の笛を持って。
森から帰る頃には、すっかりと心も体も温まる、そんなヨーロッパの初秋を満喫しています。
Posted by 荒井 瞳実
荒井 瞳実
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神奈川生まれ。2012年からバリ島、台北と旅するように暮らし、2016年オランダに着地。hitomiarai.infoという小さなオウンドメディアで、子育て、アロマセラピー、海外生活などを発信。植物やその土地の恵みを、暮らしの中や子育てに活かせたらと、常にナチュラルライフを模索中。現在は男児3人と夫のケアを基盤に、講座、講演、執筆活動などを。趣味は素敵な人とのお茶飲み。